文章修行のためにお題をお借りしました。(文章修行家さんに40の短文描写お題)

ルール
1、65文字以内で完結した話を書く。(オーバーしても1〜3文字)
2、抽象的な書き方をなるべく避け、情景を描写する。
3、ストーリー性

甘いのも暗いのも痛いのもごっちゃ。
夢要素なしのキャラ同士の話もあり。マンガ派の人にはネタバレな話もあります。





01.告白

 ようやく言えた三文字に、返ってきたのは嫌みなくらい余裕な笑みと「知ってる」の一言。
 ひとまず、返事を聞く前に一発殴っていいだろうか。

(レオン夢、65文字)





02.嘘

 今しがた耳にした言葉が信じられず、呆然と呟く。
「否定。機械は嘘をつかない」
 衝撃から立ち直れずにいた私は、気付けば彼の腕の中だった。

(トレス夢、65文字)





03.卒業

 子供扱いされるのは、何より一番いやだ。
 だけれど、「子供だな」と笑う低く甘い声と頭を撫でる大きな手を手放すことはできそうになかった。

(男主、カーヤ夢、65文字)





04.旅

 私の心から君の心へ伸びる一本道を歩いてみたいな。
 そう笑った彼女の言葉の意味が呑み込めたのは、風のようにその姿が去った後だった。

(ユーグ夢、63文字)





05.学ぶ

 おはよと言えば、おはようと返ってくる。
 お前の諦めのなさは入力済みだ。と、彼は言うけど、どうせなら私色に染まったんだとか言わせてよ。

(バルトロマイ夢、65文字)





06.電車

 がたごと、と。揺れる車窓に車内が写っている。
 がらがらに空いた席、当たり前のように隣に座る私とそれに何も言わない君と、二人寄り添う。

(トレス夢、65文字)





07.ペット

 机の上には色とりどりの菓子や果物が並ぶ。
 甘い匂いに眉をしかめる男に、女は首を傾げた。
 餌付けならこれが一番だと思ったんだけどな。

(ペテロ夢、63文字)





08.癖

 すみません、誘っているのかと思いまして。
 そう言ったのは、乾燥で薄く血が滲んだ唇を舐めた張本人だ。
 固まった私をよそに再度顔が迫る。

(マタイ夢、64文字)





09.おとな

 レオンは困ったように髪をかきあげ笑う。
 ガキ扱いで甘やかされるのが嫌なら、俺の女になっちまえ。
 目元の涙を乱暴に拭い、彼は唇を寄せた。

(レオン夢、65文字)





10.食事

 腹が減ったと言うので、何か作ろうかと台所に立とうとしたら、項に痛みが走った。
 振り返った先で、相手の鋭い犬歯がほの暗い中光っていた。

(レオン夢、65文字)





11.本

 昔話に良く聞く王子様は、笑顔が素敵な男性だ。
 目の前で訝しそうにしている彼に微笑む。まあ、私の王子様にそんなもの必要ないんだけどね。

(トレス夢、65文字)





12.夢

 温かな水面に浮かんでいる。
 覚めそうな、このまま沈んでいきそうな。心地好さの狭間で、彼の冷たい指先が頬に触れた。
 そんな、気がした。

(HC兄弟夢、64文字)





13.女と女

 何が違うのだろう。
 歳? 性格? 所属?
 考えて、そんな小さなものじゃないのだとカーヤは首を振った。
 男が見ている先は、彼女には遠すぎた。

(男主、カーヤ夢、64文字)





14.手紙

 拝啓、そこまで書いてペンを置いた。
 空白の目立つ紙を放置して、席を立つ。
 紙のやり取りなんて放り出して、愛しいあなたの元へ走り出す。

(バルトロマイ夢、64文字)





15.信仰

 手を合わせ、空を仰ぐ。
 広がる青と虚無感に、神などいるものかと血を吐く。
 それでもどうか、彼女にこの願いが届けと愚かに祈り続けるのだ。

(ユーグ夢、65文字)





16.遊び

 子供達とのかくれんぼで最後まで見つからずに隠れていたら、トレスが怖い顔で探しに来た。
 身構えてたら、心配したの一言。
 キュンとした。

(トレス夢、64文字)





17.初体験

 頬を赤く染め、彼女が嬉しそうに呟く。
 一生を捧げる相手に渡すものなんだ。初めてでなければ、困る。
 苦笑して男は彼女の手に指輪をはめた。

(ユーグ夢、65字)





18.仕事

 笑う彼の顔を見上げる。
 止める言葉を、女王は持たない。
 いってらっしゃい、神父さま。
 あなたがいない所で、戦うのが私の成すべきこと。

(アベルとエステル、63文字)





19.化粧

 気付けば、彼女は日に日に美しくなっている。
 最初こそ年頃だから、なんて片付けていたが、何のことはない。
 自分の見る目が変わっただけだ。

(ユーグ夢、65文字)





20.怒り

 包帯を体中に巻いた姿に、彼は固まった。
 お久しぶりです。暢気に笑う彼女に、胸の辺りが軋みを上げる。
 気付けば、力の限り抱きしめていた。

 (バルトロマイ夢、65文字)





21.神秘

 彼女がそっと手を伸ばす。
 不思議ね。この想いは正しくないのに、それでも、私は幸せなんだ。
 瞳を閉じた彼女に、言葉の代わりに指を絡めた。

(トレス夢、65文字)





22.噂

 マタイと付き合っているの?
 そんな話を友人に振られ、机を力の限り叩いた。
 相手は否定してなかったと続いた言葉に、はめられたと痛感した。

(マタイ夢、65文字)





23.彼と彼女

<男主>

 あの人の隣にいる彼は、知らない顔をしている。
 カーヤが一番欲しくて、一番嫌いな表情だ。
 ねえ、こっち見て。
 この声だって彼に届かない。

(カーヤ夢、64文字)


<女主>

 第三者の方が物事はよく見える。
 だから、凹んでいた彼女に大声で教えてあげたい。
 こと彼女に関して、どれだけ無表情な彼が人間臭いことか!

(トレス夢、アベル視点、65文字)





24.悲しみ

<男主>

 煙草の灰が机に落ちる。それにも気付かず、男は虚空を眺めていた。
 その横顔に常の柔らかさはない。
 口にしかけた名を、パウラは呑み込んだ。

(パウラ夢、65文字)


<女主>

 子供たちの声が響く教会に、彼女がいない。
 微笑む姿を再生しても、何かが足りなかった。
 名を呼ぶ。答えはない。
 それが堪らなく虚しかった。

(バルトロマイ夢、65文字)





25.生

 作り物の腕を抱え、彼女は「温かいね」と笑った。
 自分に体温などないと言っても、首を横に振る。
 君の温度だよ。
 甲に柔らかな口付けが降る。

(ユーグ夢、65文字)





26.死

<女主1>

 他の人間に譲るのも癪だ。いっそ、ここで止めを刺すか。
 蹲る女に銃を構える。
 愛する人の生の決定権を己が持つ。それに、笑みが零れた。

(マタイ夢、63文字)
 歪ませ過ぎた……。


<女主2>

 霊感はあるかと聞かれ、訝しむまま幼少時の体験を語る。
 会いに来れば某のことを見つけられるな。
 笑って言われたそれに、不覚にも涙が出た。

(ペテロ夢、65文字)





27.芝居

<男主>

 いつも彼は笑みを絶やさない。
 何を隠しているのか。無感情に言えば、顔を寄せてきた。
 笑みの仮面の下にあったのは、熱を孕んだ瞳だった。

(パウラ夢。64文字)


<女主>

 捜査で恋人同士のふりをすることになった。
「一週間よろしく」
「それ以上でも俺は構わないが」
 指を絡め囁かれた言葉に頭が真っ白になった。

(ユーグ夢、65文字)





28.体

 想いのまま抱き締めたら、壊れてしまうと思った。
 それなのに彼女はレオンの腕を引いて全身を預けると、彼の心配を吹き飛ばすように笑った。

(レオン夢、65文字)





29.感謝

 差しだした花束に、瞳が丸くなる。
 どんな言葉を贈ればいいのか。分からない。
 だからそんな想いもすべて含めて、彼女の命の名を呼んだ。

(トレス夢、63文字)





30.イベント

<男主>

 十二分に艶を含んだハスキーな声が、鼓膜を撫でる。
 熱い一夜をあげようじゃないか。
 女の蠱惑的な笑みに、今から一月後のお返しが恐ろしい。

(モニカ夢、65文字)


<女主>

 全員用のクッキーとは別に、自分だけに箱が差し出される。
 弟子の何とも言えない苦笑が視界に映った。
 困ったね。思うも、優越感は隠せない。

(教授と夢主とユーグ、65文字)





31.やわらかさ

<男主>

 何とはなしに触れた頬は、子供のようでいて女の円やかさを隠していた。
 成長していく少女の片鱗を見たような気がして、らしくなく戸惑った。

(カーヤ夢、65文字)


<女主>

 ドゥオは不測の事態に動きを止めた。不意に彼女が顔を寄せ、唇に触れたのだ。
 つい、ね。
 微笑んで、今しがた触れたそこを指でなぞった。

(ドゥオ夢、63文字)





32.痛み

 失敗しちゃった。
 通信機の向こう、荒い息の合間に彼女は笑った。
 ごめん、それきり途絶えた通信に、トレスは視界が赤く染まるのを感じた。

(トレス夢、64文字)





33.好き

 耳元で名前を囁かれる。
 確かめるように何度も口にされるそれに、名前以上の意味を彼が滲ませる。
 鼓膜を震わせる声に、身体中が熱くなった。

(ユーグ夢、65文字)





34.今昔(いまむかし)

 ふと目を覚ますと、ソファに座って彼女がくつろいでいた。
 苦笑を浮かべ、髪を整える。
 悪魔と呼ばれた頃には考えられない無防備さだった。

(マタイ夢、64文字)





35.渇き

 夜中に急に目が覚めてしまった。
 首を捻りつつ起きて、給湯室に向かう。その途中でトレスに出くわし気付いた。
 渇いたのは喉なんかじゃない。

(トレス夢、65文字)





36.浪漫

 三日月が浮かび、闇は刻々と濃さを増していく。
 愛を囁くには、うってつけの夜だ。
 困り顔のユーグに、他意のなかった女は首を傾げるばかり。

(ユーグ夢、65文字)





37.季節

 いつも彼女は、ドゥオにとって無意味な世界の移ろいを笑顔で語る。
 沈丁花が咲いてたよ。
 その言葉を思い出し、漂う香りについ足が止まった。

(ドゥオ夢、65文字)





38.別れ

 男はいつものひょうきんな様子とは明らかに違っていた。
 今から俺がお前を奪うんだ。神様にさよならしとけ。
 落とされた言葉に背筋が震えた。

(レオン夢、65文字)





39.欲

 胸の内がざわめく。
 様々な言葉や行動が浮かび、結局一番したいことが決まらない。
 困りましたね。女の腕を掴んだままマタイは考えあぐねた。

(マタイ夢、65文字)





40.贈り物

 会話の途中、徐にトレスが腕を掴んだ。
 バグ発生?
 訝しむ私の手をとり、もし俺にもそれが存在したのなら卿に贈ろう、と彼の胸に宛がった。

(トレス夢、64文字)





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