五十音順愛の詠book

□五十音順愛の詠 『う』
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しろ姿もベリーキュート
※学パロ


 ひょこり、と。
 黒板とノートに視線を上げ下げする度に、前の席に座る赤毛の頭が動き、連動して背中に垂らした髪の房が揺れる。

 ひょこ、ひょこ。
 左に体を伸ばせば左に、元の位置に戻れば右に揺れるそれに、ホーキンスは無表情のまま腕を伸ばしていた。


「ぐえ」


 力一杯引けば、かくりと後ろに頭が落ちる。
 腕をばたつかせむせる姿に、眠たい声で教科書を読み上げていた黄色スーツの教師が顔を上げる。


「おー、そこー、うるさいよぉ」
「よくよく状況見て注意しやがれ! 被害にあってんのあたしだから!」
「んんー、首そらして何やってるんだいー?」
「あんた、グラサンじゃなくて老眼鏡かけろよ!」


 騒ぐ赤毛と首を捻る教師にはまったく構わず、ホーキンスはただじっと手の中の髪を見ていた。
 そして掴んだ時と同様に何も言わずに放すと、また背中で揺れ始めた髪に一つ頷いた。


「やはり、動いている方がらしくていいな」
「意味分かんねぇから!」


 叫んだ拍子に、ひょこりと動く。その赤の軌跡に、ホーキンスは少しだけ目を細めた。
 

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