っぷ♪

□ナイトメア
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終業のチャイムが鳴り、生徒達は帰宅や部活に動き始める。
しかし、全く微動だにしない男子生徒がいた。
いや、微動だにしていないわけではない。スースーと寝息を立て眠りについているだけであった。
「弘志!早く起きてよ!」
女子生徒の声に反応して弘志と呼ばれた男子生徒は目を覚ました。
「……ん、もう学校終わったのか。じゃ、帰ろうか由絵」
「今日、弘志家泊まってよ。親いないんだ〜。」
「おまえ一人なのか?じゃ、泊まってやるかな〜。」
「本当!?うれし〜」
二人は都立高校に通う高校二年生の生徒。
男のほうは岡井弘志、学校にきても寝てるだけでありながら影のウラ番でありスポーツ万能・頭脳明晰。おまけにルックスもよく女子からの人気は絶大なものだった。かといって男子のほうも頼れる存在である。と一部を除いてはかなりの人気を誇っている生徒であった。
女のほうは中谷由絵。こちらのほうはルックスはそこそこにいいが、運動・勉強はてんでダメという生徒だった。性格もとりわけ良いわけではなくどちらかといえば地味な存在であった。
この二人は入学して3ヵ月後には付き合いはじめ、もう一年以上が過ぎていた。
「もうすぐ夏休みだね」
「そーだな、どっか行くか?」
「由絵、遊園地行きたいな〜」
「遊園地か〜、八月辺りに行くか!」
「わ〜い」

と、話しながら歩いていると、怪しい男が二人の目線に止まった。
「なぁ、あのオヤジ危なくない?」
「晴れてるのにフード被ってる……逃げよ!」
「えっ!由絵ちょっと待てって!!」
二人は一目散に走りだした。

「怖かったね〜」
「あぁ、もう大丈夫だろ」


その夜、二人はベットを共にした。
弘志にとっては由絵と過ごせる最後の夜だった。
由絵はこの夜以降二度と目覚めることはなかったのだ………。
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