BOOK@

□そばにいて
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ぐっすり寝ていたと思ったら。

「…どこ行くの」
腕の中からそっと抜け出したはずなのに、サンジはもぞもぞと起き上がった。
眠いのだろう、目を擦って必死に覚醒しようとしている。
その子供っぽい仕草に自然と頬がゆるんで。
行為の最中はあんなに男を感じさせるのに、とギャップを感じてゾロは笑みを深くした。
「便所、寝てろよ」
ゾロはサンジの髪を撫でて梳いてやると立ち上がる。
と、腕を掴まれてベッドに引き戻された。
「…やだ」
「やだ、じゃねェよ、便所行かせろって」
我慢できないわけではないが、尿意を抱えたままじっとしているのは耐えがたい。

「…眠い」
「じゃあ寝てろよ」
「…抱き枕」
寝呆けているのか、サンジはゾロを指差すと抱きついてきた。
そして、慌てるゾロの体に腕を回し、足を絡め、胸に顔を埋める。

先程まで自分を抱いていた、とは到底思えないサンジの仕草。
「おい、サンジ」
呼びかけに返ってくるのは穏やかな寝息。
寝顔を見つめる。
金髪がその大部分を隠しているが、唯一見える口がもごもごと動いたのに気付いて、ゾロは耳を傾けた。
「……そばにいて…」

何も着けていない肌に吐き出される息がくすぐったくて、ゾロは声を殺して笑った。
トイレに行きたいのも忘れて笑った。
振動でサンジが小さく呻いたのも気にせず、愛しい金髪を撫でながら、行かねェよ、と呟いた。

END

▼Comment
UP:2002.12.27
抱き枕ゾロ。
サンジがゾロから離れたくないお話です。
珍しく短い話で、サンジのヘタレ度がMAX。

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