12/08の日記
07:26
ボクセキ】SS詰め【微腐あり
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七巻購入記念。
にしては遅いけども。
なんだか無性に書きたくなった。ので、書く。
以下の通り……書けるかな。
・皆見×春湖
・瀬々と皆見(瀬々ユージン説
・ベロニカとグレン
皆見×春湖
自分が保てないときふと、考えてしまうことがある。
私はなぜ皆見と一緒にいられるのか。
それはリダの意識を得たときからの疑問。皆見を裏切る根底からの拒絶。
勿論、私は皆見を皆見晴澄として、好きなはずなのだ。だって初めに好きになったときはリダなんて、いなかったのだから。
(けど、それすらも、ただの巡り合わせなら?)
そう、例えば、皆見の中にベロニカ様を無意識に感じていた、とか。
幾らでも、いつまでも。
「ねえ春湖」
「なに?」
いつもの帰り道、皆見は突然立ち止まると、くい、と私の制服の袖を引っ張った。
それから、うー、あー、と顔を真っ赤にして目を泳がせる。
「あ、のさ、」
「う、うん」
皆見は大きく深呼吸して、それから真っ直ぐに私をその瞳に映した。
「俺はずっと春湖のこと大好きだから」
まぁるい柔らかな声が、私の鼓膜を揺らす。ああ好きだなあ、と、否応無しにまた思い知る。
「から、春湖も、俺のこと、好きでいて」
ぶしゅう、と顔から湯気が出そうな、そんな表情でそんな言葉が続く。
(ベロニカ様)
(じゃない、此処にいる皆見を)
「うん」
(私は好きになったの)
なんて簡単なんだろうかと自分に呆れる。けれどきっと、そんな私の単純さすら皆見は受け入れていてくれるのだ。
全部ひっくるめて春湖でしょ?と、穏やかな微笑みを浮かべて。
「私、皆見のこと、ずっと守るよ。傍に、いるよ」
あったかい気持ちになってそういうと、皆見はがくりと肩を落とした。
「……うん、ありがと」
私はこっそり、笑んでみせた。
▼愛する君よ、誰よりも幸せであれ
瀬々と皆見
※7巻限定版特典CD微ネタバレ
「昔甘いもんが大っ嫌いだったんだよね」
「へえ?」
「こう、なんつーか、もう、人間の食い物じゃないって感じ?ほら、城の食いもん甘い味付けの多かったじゃん?辛くてさー」
「とか言ってお前今ハニトー食ってんじゃん」
「まーそーですけどー。あー無性に肉が恋しいー。なんだろーなー」
と、瀬々はハニートーストにかじりついた。呆れながら俺は隣のベンチに腰掛ける。
放課後、学校近くのコンビニの前に置かれた三人掛けのベンチ。
春湖は広木に連れられ帰宅し(なんとも言えない表情だったことを追記する)、珍しくバイトが休みだった瀬々と帰宅と相成った。
この間ハニトー談義が盛り上がった所為か1年4組ではハニトーブームが起こり、中でも火付け人の瀬々は毎日のように食べる有様である。
苦手?どこが?美味しそうに食べてんじゃん。
可笑しくなってつい吹き出すと、瀬々はむっとしたようにハニトーを俺につきだした。
「ハニトー舐めんなよー?」
「いや別に舐めてないよ。……あ」
ふ、と頭の中を小さな映像が掠めた。
――甘いものが苦手ではこの城の料理は随分キツいだろう。なにか……
――別に食べられないわけじゃない。あまり食べたくないだけで。
――同じ事だろ。あ、そうだ。牛は無いが羊はどうだ?今すぐには無理だが頼めば多分出してくれるぞ。
――……好きにしろ。全く、お前は変なところで突っかかる女だな、ベロニカ。
――それはお互い様だろう、ユージン。
「……けどま、甘いものが嫌いならグレンもだしなー」
「え、何々?何の話?」
「なんでも。それよりさ、一口よこせよハニトー」
「えー。皆見自分で買えよなー。まーいーけどー」
ほれ、とハニトーを二つに裂いて、瀬々は小さいかけらの方を俺に渡す。
「どーも」
その傍若無人の影に王子の姿を見たのは、きっとただの、幻覚。
▼本気と冗談の境目を
ベロニカとグレン
「グレン、花を摘みに行くんだ。付き合ってくれ」
と、ベロニカ様は唐突に見習い騎士の大部屋に来ると、俺の手を掴みながら仰った。
何のことやらよく分からずに取り敢えず引かれるままに外に出る。
そこでようやく王女と手を繋いでいることに気がついてさっと手を引っ込め、慌てて呼び止めた。
「ベロニカ様、すみません」
「なんだ?」
「……いえ。花を摘むならリダと摘む方が絵面は綺麗でしょう。だいたい摘んでそれをどうするんですか」
「ユージンに渡すんだ」
聞いてみると、王女はあっさりと言って笑った。
冗談じゃない。男にやるプレゼントの為に男を連れ出すなんてもってのほかだ。それ以前にどう考えてもデリカシーがないじゃないか。
「いや、あの、それは」
「お前にしか頼めないんだ。グレンは珍しい草花を見つけるのが得意だろう?力を借りたい、頼むグレン」
「……あなたは」
ぺこりと腰を折った王女に俺はふうっと溜息をつく。
「わかりました、引き受けましょう。ただ、僕は教えるだけですからね。摘んで渡すところは御自分でなさってください」
「ああ心得た。……ふふ、久しぶりだな」
「何の話です?」
くすくすと笑う王女。何のことやら、と首を傾げると、楽しげに話し始めた。
「グレンと二人で外に出るというのは、私がユージンと夫婦になってからなかったからな。お前と一緒だとどんな小さなことも新しい発見で楽しいんだ。だから、今少しわくわくしている」
「……ベロニカ様は本当にしょうがない方ですね」
ごほ、と空咳をして俺は顔を背けた。かっかと耳が熱い。
――意識していなくとも、お前と王女は愛し合っていたんじゃないのか?
バルトの落ち着いた低い声を思い出す。
いや、まさか。過剰反応にも程がある。俺が、そんな。でも。
「ベロニカ様」
「ん、なんだグレン」
「良かったら、僕にも一輪選んでくれませんか?」
緊張しながらいうと、王女は虚を突かれたようにぱちぱちとまばたきを二回ほど繰り返した。それからふんわりと笑う。
「勿論」
▼種火の恋情
よし頑張ったよ。
もう、いいよね……。
ではでは。
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