稲妻1
□夜明け色の接吻
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夜明け色の接吻
※ロココが女の子 決勝戦後
「僕は後悔はしていないんだ。
確かにマモルに勝てなかったことは悔しいけれど、今持てるすべての力を出し切った。それだけは言い切れるから。
フィディオ、僕は君にあまりいい趣味とは言えない試合をしてしまったけれど、君は僕の傍にいてくれる?」
「……ロココ」
「っ……マモルが勝ったらダイスケを取られるんじゃないかって怖くて。
マモルは、人を惹き付けるから。いつの間にかみんな、マモルのペースにさらわれるんだ。
僕は、悔しい。
僕の唯一のサッカーですら、マモルを超えることはできなかったんだ」
「ロココ、聞いて。
……俺は、君達に結構キツい感じで負けた。俺達の気持ちを託したのは、ジャパンだった。
だから、こんな俺が言うのも変かもしれないけど」
ふわりとフィディオの腕がロココの肩に回った。
丸みを帯びた肩には程よい筋肉がつき、しかし細い。その肩に触れる度、フィディオはどうとも言えない気持ちになる。
この細い肩で、腕で、世界一を競う舞台を戦った少女。
U15に唯一人、性別を偽ってでも出場した、気の強い頑張り屋。
悔しいのは、自分だって。
そう呟きながらも、フィディオは一度知った柔らかさを離せない。
「俺は、君がサッカーを続ける限り、君の味方で居続けるよ。
風当たりがどんなに強くても、君が自らを折ってしまわない限り、ずっと」
「……サッカーを、続けている限り、か」
「だって俺達は世界を競うライバルだ。俺はロココのこと好きだけど、その前にライバルであり、サッカー好きの仲間だ。
君がサッカーを辞めた時は、その時はきっと一人の女の子としてみるようになるけれど、きっと君はまだ、それを望まないだろ?」
「……凄い、なんでもお見通しなんだね、フィディオ」
ロココはふ、と息を吐いて、回された腕に凭れかかった。
小刻みに震える声を、フィディオは聞き逃さなかった。
「今だけでいいから、女の子扱いしてよ。
………今、ちょっとだけ、凹んでるんだ」
「それなら勿論」
額にキスを落とす。
遠くで歓声が聞こえた。
「ありがとう、フィディオ。
……………好きだよ」
「うん」
▼涙は明日の光にも似て
三萬打フリリクみるくてぃ様へ
よってお持ち帰りはみるくてぃ様のみに限らせていただきます。
フィデロコ♀以外の指定がなかったのでちょっと切なめテイストで仕上げてしまいました。
新境地なので要領が掴めず……、「こんなの納得できるか!」と思ったらお知らせください。もう一度書きなおします。
しかし、以外と美味しいCPですね、これ。クセになりそ((ry
ご一報くださると何よりです。
それでは、リクエストありがとうございました。