稲妻1
□はらり舞い散る花吹雪に
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はらり舞い散る花吹雪に
※デスタが女の子。
手を伸ばして身動き一つせずにいると、掌にふわりと舞い降りたのは小さな桜の花びらだった。
優しく握りしめて、それからそっと開くと、何事も無かったように花びらは風邪に乗って何処へともなく飛んでいった。
その様子を目を細めて伺って、ふ、と微笑むと、そんな私の情緒を悉く掻き消すように、彼女は隣で私を呼ぶ。
仕方無しに振り返ると、綺麗なウエディングドレスにはあるまじく、片手を腰に当て、私を睨み付けていた。
だけど、それも悪くは無い。
もう一度降り注ぐ桜を見て、それから気高く美しい彼女を見た。
彼女に桜はあまり似合わないような気がするけれど、それはそれで、私は彼女の存在を唯一と感じるのだ。
彼女は満開の桜の花よりも、きっと百本の薔薇を集めた花束のほうが似合うんだろうなと思ったら、笑い声が漏れた。
彼女は少しばかり眉をしかめて、私の服の袖を引っ張る。
伸びるだろう、と文句を言えば、突っ立ってるほうが悪いんだよ、と正論を返されてしまった。
「折角祝ってもらってんだから、しゃきしゃき歩け馬鹿」
「そんな口の利き方するな、デスタ。あぁ、どうせなら惚気がわりにお姫様抱っこでもしてやろうか」
「死ね、マジ死ね。つぅか何? さっきから人の顔見てニヤニヤしやがって」
「自分の花嫁が着飾って隣にいる。幸福を噛み締めて何が悪い」
「っ………こっぱずかしい野郎だなっ……」
花吹雪が私達が歩く道を埋め尽くして。
あぁ、私達は結婚したんだなぁ、なんて今頃になって実感が湧いてくる。
隣で真っ赤になって俯いているデスタはやはり愛しいし、笑顔で花を撒き、声をかけるチームメイトや円堂守達の姿も何だか嬉しい。
「セイン」
「何だ」
「………今さらだけどさ。
…………俺の事好きになってくれてありがとう」
「……本当にな。……ほら、そろそろブーケトスだ。女連中が今か今かって、待ち侘びている」
デスタの手中に小さく収まったブーケに視線を落とし、頷いた。
「ブーケトス、するってさー」
円堂がそう声を掛けた。
女子がわらわらとデスタの近くに寄ってきた。
「デスタ」
「……ん、何」
「これからも、ずっと私は君を愛し続けるよ」
「………俺も」
デスタが深呼吸する。
「じゃあ、投げるぞー。
…………そーれっ!」
ブーケから、一枚の薔薇の花びらが散った。
▼May your days be good, and long upon the earth.
三萬打フリリク綺羅さまへ。
よってお持ち帰りは綺羅さまのみに限らせていただきます。
セイデス♀で幸せ文ということでしたので、結婚させてみました。安直でごめんなさい。
気に入っていただけたら何よりです。ご、ご一報くださるとさらに((ry
それでは、リクエストありがとうございました。