稲妻1

□とあるラジオの日常風景
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とあるラジオの日常風景



「今日も始まったよ、グラールチャンネル!!」
「ずっと思ってたんだが、グラールってなんだ?」

 そんな言葉は無いはずだが、と思考する玲名を横目で見ると、ヒロトは勝ち誇ったように笑った。

「それは勿論、元グランに元ウルビダで、視聴者の皆様が分からないようにグラールってやってるんだ。
 どう、わかんないよね、凄いでしょ!」
「もう口外しているんだが。」
「いいのいいの。皆に俺たちの愛を伝えr「ラジオを聴いている人たちが消えるぞ。」

 むぅ、と頬を膨らますと、ヒロトは割と真面目だったのに、と小声で洩らした。
 玲名はそんな様子に小さく首をかしげた。全く、この男は掴めない。

「っとまぁ、今日も行ってみよう!エイリア質問コーナー!!いっつも俺の髪型についてばっかりだからなぁ。
 たまにはまともな葉書の一枚も・・・。」
「読むぞ。P.N.猛き炎の俺様 チューリップ。」
「うん、もうそのP.N.で分かったよ。」

 明らかに俺様に取り消し線をつけたのはあの寝癖ヘアだろう。
 ちなみに、ヒロトも玲名も微笑ましいな、とばかりに頬を緩ませていた。

『俺が手紙を出してやったんだ、感謝しやがれ。』

「ははっ、はr・・・アイツらしいな。」
「あぁ、続き読むぞ。」

『どうして玲名はヒロトとラジオやってんだ?』

「答えよう、全てはラジオ側のスタッフが決めたんだ。」
「俺がやらないかって言ったんだけどな〜。」

 ヒロトに発言を無視して、次の質問を読み始める。
 そんな玲名の態度に少しばかり気が沈みかけたヒロトだったが。
 彼女の頬がほんのり朱に染まっていたような気がして、にこりと笑った。

「P.N.凍てつく闇の深淵寝癖ヘア。」
「あぁ、うん、仲いいんだね、やっぱり。」
「そうだな。」

 脳内再生されるのは、この二人が全力で顔に落書きをしている様。
 きっと油性ペンに違いない。そしてあの自称神はによによとその様子を見ているのだろう。

『いつも聞いているよ、ぶっちゃけて質問。』

「二人は両想・・・・・・ぃ?」
「もっちろんっ!!」
「グランっ!!死ねっ!!!!」
「え?!いきなり?!!」

 ばこーんっ!!と小気味良い音がしてヒロトは台本を丸めたもので力任せに殴られる。
 玲名は加減をするほど平静では居られなかった様だ。

「いったいな〜。」
「お前が悪いんだ。あんなこと言うからっ・・・。」
「あははっ、照れてるの?可愛いy「死ねっ!!!!」

 今度こそ耳まで真っ赤に染め上げて、玲名はヒロトをバシバシと叩く。

「両想いはまぁ置いといて、俺は玲名が好きだよ。」
「・・・勝手にしろ。」
「あ、FAXきた。」

『玲名、もっと殴っていいよ。私が許可する。』
『日ごろの恨みを晴らしてくれ、なっ。』
『面白そうだから神も手は出さないことにしたよ。』

「あら・・・? え、皆・・・酷くない・・・?」
「お言葉に甘えて、殴らせてもらおう。」
「えっ?!! 玲名・・・?」

 至極楽しそうに台本を振り上げる玲名。
 先ほどまでの甘い雰囲気は何処へ消え去ったのか、彼女の目には小さな殺意すら浮かんでいる。

「きょっ、今日はここまでっ!! アディオスっ!!」

 アディオス!!

 かくしてヒロトは本物の流星になったのである。

「なってないよっ!!!」
「まだ殴られたいか?」



裏表カップル
(素直すぎる彼と、素直になれない彼女)





第三弾。
だいぶ俺文に直してあるな・・・。
ヒロ玲凄くいいと思うんだけどね。
リア友にしては珍しくカップル系だったからいいかなぁ、と。
結果的にギャグ落ちなのはリアの才能。

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