稲妻1
□理由
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理由
多分、理由なんて無かった。
恋愛なんてそんなものだと、何処か冷めた目で見ていた自分が居た。
だけど、時折、理由が無いことを何故だか恐ろしく感じることもまた然りで。
理由を得た時に、自分は彼を愛しているのだと胸を張って言えるのかと。
「だから私は、お前を無条件に愛そう。」
「そっか。」
それは何か寂しいな、と彼は笑った。
「だってそれって、俺はリオーネに、『俺のどこが好きなの?』っていう、お決まりのベタな台詞を言えないってわけだ。」
「それは・・・。」
ネッパーはそういって私を見つめる。
息苦しいほどの沈黙。
やがて、彼は私を抱きしめ耳元で話し出した。
「俺は、リオーネのそういうトコ好きだよ。自分の中で答えを見つけようって頑張ってる。」
「・・・・・・ネ・・・パ・・・?」
「まぁ、頼って欲しいのもあるけどね。それに、実は素直で優しいしさ。」
彼が笑って漏れた吐息が酷くくすぐったい。
答えられない自分がもどかしくて、苛立たしくて、私は唇を噛み締める。
「結局、そーゆーの全部ひっくるめて、俺はリオーネを愛してるよ。
それこそ、無条件にね。」
「・・・・・・ネッパー、私は。」
きつく噛み締めた唇からは、鉄の味。
それでも構わず、自分の間違いを彼に告げようと私は彼に向き直る。
冷めた目で見ていた自分の愚かしさに、ようやく私は笑った。
「お前のその優しいところが好きだ。真っ直ぐに見つめてくれる瞳が、温かな手が好きだ。
何だ私は。始めからお前が好きで好きでどうしようもなかっただけじゃないか。」
馬鹿みたいに全部好きで、それが理由で。
そう言ったら、返事は優しい口付けで返ってきた。
なぁネッパー。
私たちは何故違うチームなのだろうな?
好敵手、と言えば聞こえはいいが、自由を制限されて、お前に会う時はいつだって短い。
僅かな逢瀬はかえって私を悲しくさせる。
それほどまでに、私はお前を愛しているのに。
「今度、バーン様とガゼル様が協力してチームを作るんだって。」
「・・・あのお二人が?」
「うん。だからさ、俺、そのチームに入れるように頑張ろうって思って。」
「!!!」
それは、と問う前に、彼は私を見つめて言った。
「リオーネも、一緒だよね?」
「・・・・・・勿論だ。」
傍に居られれば
(サッカーさえも利用して見せましょう)