稲妻1

□I am loved he.
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I am loved he.


「私の言葉は希薄だから。・・・だから信じちゃいけないよ。」

 そう風介は言った。
 こっちの胸が苦しくなるくらい、悲しげな微笑を浮かべて。

「っは、お前との付き合いも長ぇんだ。
 嘘も本当もあるかよ、わかるっつぅの。」
「そうかな。」

 引き寄せられた。
 目の前を、視界を、風介でいっぱいにして。
 知ってたんだ、その後どうなるかなんて。

「・・・拒まないんだ?」
「拒んだって意味ねぇだろ。」

 触れるような口づけが、だんだんと深いものに変わっていく。
 舌を絡めとられて、囚われて。

 本当は『意味が無い』んじゃなくて、それを待っていたのかもしれない。
 初めてそうされた時も、嫌じゃなかったから。

「!!?」

 唐突に押し倒された。
 忘れてたけど、ここは俺の部屋で、さっきまで亜風炉もいたはずで。
 ・・・あいつ何処に行ったんだ?

 なんて悠長に考えていたら、切迫した風介の声に思考を遮られた。

「晴矢、私は・・・。」
「どうした?」

 掴まれていない右手で、風介に触れる。
 ビクリ、と体を震わせた彼は何かに怯えるようだった。

「信じる、信じないは俺がお前を見た上で決めることだろ?
 お前は、ちったぁ素直になりゃいーんだよ、バーカ。」

 微笑んだ、ついでに上半身起こして小さくキスをしてやったりして。
 精一杯の笑顔と思いが、お前に伝わってればいいって。
 言葉にはまだ出せない『好き』をお前がわかってくれるように。

「晴・・・矢・・・・・・。」
「おぅよ。」
「・・・好き。」

 降り注ぐ口付けに、俺はそっと身を委ねた。



愛してるのは
(お互い様)

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