稲妻1

□恋愛初心者宣言
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恋愛初心者宣言


「緑川、お前のサッカーは変わったよ。」

ふ、と微笑んで、風呂とは俺の頬に触れた。
驚いて思わず目を見張れば、クスリ、と忍ぶ笑い声。

「……違うな、変わったのは緑川自身…かな。」
「ヒロト……?」
「ジェミニストームのレーゼより、俺は今の緑川リュウジの方が好きだけど。」

そのまま伸びた指で、俺の頬を思い切り引っ張るヒロト。
痛いんだけど、ヒロトさん?

「あは、凄いしかめっ面だね、緑川。」
「そー思うんだったら離してよ。元ジェネシスキャプテンさんは無自覚かもしれないけど、結構な力はいってるんだからね。」
「無自覚ねぇ……。そういうキミも人の話はもっとちゃんと聞いた方がいいよ。」

俺の頬から手を離し、彼は大げさに溜息をついて肩を竦めた。

「ごめん、さっきから訳わかんない。」
「だから、俺はリュウジが好きって言ったの。」
「…………は……?」

思わず回れ右。
引っ張られた頬に手を当て、柄にもなく赤面。
不意打ち、ってきっとこのこと。

「……いやいやいや、俺男だよ?」
「うん知ってる。」
「俺恋愛とかよくわからないんだけど?」
「じゃあ俺を好きになってよ。」

一点張りの彼の主張。
勝てるわけがない。
降参してやれやれとうなづけば、彼はパッと顔を輝かせた。

「言っとくけど、ヒロトのこと好きか解らないからね?」
「うん、だから、これから俺だけを見るようにし向けてあげる。」

取り合えず、と彼は頬をゆるめた。

「キスでもしてみようか?」


想いが目覚めるまで
(あとほんの数秒なのです)

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