稲妻1

□それは両極端であるからこそで
1ページ/1ページ


 それは両極端であるからこそで 


  結局のところ、私とアイツは正に正反対と言えるのだろう。
  私を氷と例えるのならば、アイツは燃え盛る炎のような存在で。
  それは同じチームとなった今でも変わらない。
  それを後悔した事は、一度だってないから。

  私がガゼルで、アイツがバーンだった頃、私はアイツを目の敵にしてきた。
  嫌いだったわけじゃない。
  好きであるからこそ、といえばいいのだろうか。
  負けたくなかったのだ。
  だから、双方ともに意地張りで、事あるごとに揉めていた記憶はいまだ脳内の殆どを占めている。

  つまり、私が言いたい事は、「もっとアイツに素直に接せれば」ということで。
  あの頃出来なかった分、今、アイツを抱きしめて、そっと愛を囁いてやりたい。
  アイツはきっと頬を髪の毛と同じくらい赤く染めて「馬鹿野郎」と呟くのだろうな。
  私は涼しい顔をして「愛しているよ」といってやろう。


  冷たい氷は炎に当たってその硬くなさを溶かして。


  きっとこれから生きていくうえで、私とあいつは正反対のことを述べながら、それでも同じ道をいく。
  これはもう決定事項だ。
  これからの私の人生の傍らには、いつもアイツが居る。
  磁石のN極とS極が、両極端であるからこそ、引き合い、引き付け合うように。
  けれどそれに文句はないのだろう?

「晴矢。」
「何だよ風介?」
「私は君を愛しているようだ。」

  小さくキスを落とせば、真っ赤になったアイツの顔。
  それを愛しいと感じるのに、私はほんの少しの時間さえも要さなかったから。

「ば・・・ばぁ〜かっ!!」
「君が言えた立場じゃないよ。文句はないでしょ?」



              つまり、対になる関係で。
(取り敢えず、もう少し素直になろうと思った。)



                          End.

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ