稲妻1
□温かさにつられて
1ページ/1ページ
温かさにつられて
大きく息を吸って、吐く。
どきどきと高鳴る心臓はそれでも収まらない。
俺の吐き出す二酸化炭素が、一体どれ程地球温暖化に貢献している事か。
まぁ、限りなく微量の話で、それどころか0%に近いのだけれど。
「ダーリンっ!!お待たせっ!!」
後ろから抱き付いてきたのはリカ。
もう何度そうされたかわからないのに、いまだになれない俺。
しどろもどろになっていれば、彼女は神妙な面持ちで「どうしたん?」と尋ねた。
「・・・俺の呼吸はどの程度温暖化に貢献してるのか考えてた。」
「なんやそれっ!ちゅーか、吐いた息にだって酸素は含まれてるやろ?小学生の実験や。」
「あ〜・・・そいやそうだったかも。」
呆れたといわんばかりに目を閉じて首を振る彼女。
その仕草が可愛らしくて、俺は彼女の額にキスを贈った。
「な・・・ななっ・・・。」
「言葉になってないよ☆ 全く可愛いんだから、リカは。」
「はわ・・・ダーリンっ!ちょっ・・・ここ公衆の面前やでっ!?」
真っ赤になっている彼女の手を取って、さぁ行こうか、と歩き出した。
たまの外出。2人きりのデートも悪くない。
見上げた空はスカイブルー。
温暖化の影響は、全く見えなかった。
キミと居るだけで、俺の心は温かくなってる。
(リカ、顔真っ赤だね。・・・あ、温暖化?)
(いつまでそのネタ引っ張るんや!)
END