no title 4

□×ゲーム
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×ゲーム


 とんっでもなく濃いキャラクターが集った物だ、と零崎人識は人知れず溜息を付いた。自分の左右から引っ切り無しに聞こえてくる何かがすれているような、悲鳴にも似た音。

 それがどんな凶器から鳴っているものか人識は十二分に理解していて、またそんなものを凶器とするものを人識は今のところ二人しか知らなかった。

 すなわち、マインドレンデルの零崎双識。それを継いだ零崎舞織こと無桐伊織。そして考えても見て欲しい。

 継いだということは零崎双識の存在というものはもうこの世から無くなっているということであり、つまり両耳から違う刃先の擦れあう音を聞く事態になることは普通、無いはずなのである。

 にも関わらず、二つの(正確には四つの)刃の音を聞くことになった惨状に、人識は全く覚えが無かった。

 いや、あると言えばあるのだ。ただし、そんな些細なことでまさか二人から両方向から狙われることになるなど微塵も思っていなかったが。


「あーもうっ、伊織ちゃんはわかるぜ?どーせ面白がってんだろ? けどアンタ誰だよっ、赤目金目のオッドアイっ!!」

「くすくすくすっ、あーあー、人識くんが怖がってますよぅ、名乗りくらい上げたらどうですか、天帝様っ」

「名乗るほどじゃないし別に彼は怖がってないだろう。……不気味がられてはいるようだけど」

「ったり前だろ!! アンタなあ、いきなり見ず知らずに刃ブン投げられてドキッとしないほうが可笑しいわ!! ましてやアンタこっちのプレイヤーじゃねーだろ」

「こっちってどっちかな? 右? 左? それともなんかイッちゃってる話?」

「あーもう言葉が通じない!!!」


 やってられっかー!! と匙を投げた人識にまた両方面から笑い声が聞こえる。

 一つはひどく密やかに、しかし嘲笑うかのように。

 もう一つはただただ、楽しんでいるかのように。


「赤司征十郎さんです」

「は?」

「だから、天帝様の御名前?」

「……はあ。……で、え? 俺にどうしろと?」

「君は何もしなくていいよ。ただ、僕の実験台になってくれ」

「ワットっ!!?」


 実験台!? なんの!? と、あたふたする人識を横目に、左右の鋏は頷きあうなりぐるぐると人識を縄で縛り上げた。

 ナイフを持たない現人識は、成す術もなく、床に転がされた。


「いー加減にしろや伊織ちゃん。と、なんだっけ?赤司? 何する気だかしんねーけど、後で痛い目見てーか」

「くすくすくすっ、怯えないでくださいよぅ人識くん。天帝様だって別に殺そうってわけじゃないです」

「つーかなんだその厨二病みてーなネーミングも。赤って大体あの最強思い出すから好きじゃねーんだけどさぁ!」

「奇遇だね。僕も各方面から天才だとか最強だとか言われてるよ」

「謙遜しろ!!」


 ナニソレ美味しいの? とばかりに首を傾げて見せた赤司に今度こそ人識は自分の額に青筋が浮くのを感じた。


「さて、君と無駄話する時間も勿体無い。さくさくいこうか」

「何する気だよ」

「んーと、暇を持て余した天帝様の遊戯?」

「……拒否」

「不可」

「駄目ですよぅ」


 即答に人識は罵倒が飛び出しそうになった口をぐっと噛み締めた。


 考えるな俺。赤司はどーせこっちのプレイヤーじゃねぇし、頭よさそうだしバカな真似はしねー、はず。いやこの場合信用ならんのはどっちかってと伊織ちゃんか?あーホント、どうしてこうなった。


「君、どうしてこうなったか分かってるかな?」

「……」

「ねえ、君は一体何を馬鹿にしたのかな?」

「…………ハサミデス」


 渋々とそういうと、二人の両目がキランと……切らんとばかりに、光った。ように、彼は思った。


「仮にもお兄様が鋏をお持ちだったのに、そして人識くん自体先端大好きなくせに、どーいう了見だったんですかねえ」

「一般人ならともかく、君のようなとても奇抜で頭がおかしいような色合いの斑髪や携帯ストラップをピアス代わりにするような男には、言われたくないよね。いくら、僕が温厚で優しくてこれ以上なく慈悲深くても」

「どのへんにそんな要素の欠片でもあったよ!!」


 思わず口に出すと、ギロリと物凄い視線で睨まれた。赤司は剣呑な光を瞳に点したまま、さ、と鋏の切っ先を人識に向ける。

 ひゅ、と自分の息が漏れたのを、人識は感じた。


「ということでね。×ゲームだよ」

「……えーと?」

「まずその髪を真っ黒に染めなおして携帯ストラップは耳ごと削ぎ落としてあとはその不可解で不愉快な顔の刺青をどうにかして取り除いてやろう」

「一個もんのスゴイ不穏だったんですがちょっと誰か止めろよこいつ!!」

「そうですよぅ天帝様っ、流石に刺青はばんそこ貼っときゃいいんじゃなしですかー?」

「そこじゃねえ!!」


 ぎゃんぎゃんと噛み付く人識に、赤司は氷の眼差しと天帝の微笑みを与え――…白髪染めパックを手に持った。


「僕に逆らう奴は殺人鬼でも染める」





▼改善改良。文句は程ほどに。







どうしてこうなったとか私が聞きたい。
鋏キャラに挟まれる人識って面白いけど扱いに困るぜ←
でも世界観思うとやっぱコラボるならめだ箱だなーと思いました。
以上。


 

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