no title 4

□ふわんほわん
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ふわんほわん


 縦横無尽にコード類が駆け巡る友の家の中にも癒しの空間というものは存在する。

 ふわふわと柔らかな感触のソファに身をうずめて、抱きついてくる友に緩く腕を回しながらぼくはそっと息を吐いた。

 日曜日の昼下がりだ。

 お日様の光がぽかぽかとぼくらの上に降り注いで、いかにも、おやすみなさい、と語りかけてくるようだった。


「ねえ、いーちゃん」

「なんだい友」

「えへへー、こんなにいーちゃんとまったりするのも久しぶりなんだよー。僕様ちゃんぽかぽか、ふわふわ、 じゅーでんまんたーん」

「それは良かった」

「いーちゃんは?」

「ぼくも」

「うにー。それなら良かったんだよー」


 と、友はぼくの背中に回ったままの手にますます力を込めた。

(ああ、なんてちっちゃな)

 その、ありったけの力を込めたのだろう腕さえ、ぼくの骨を軋ませる予兆すら見えない。

 小さな存在。ぼくを包み込むように抱きしめる友。


「あのねー、いーちゃん」

「んー」

「好きー」


 ぼくの胸に顔を埋めながら、友はえへへ、と笑った。

 幸せそうで、全てに満たされているようで、それが一瞬の虚構だと知っていながら少しだけ嫉妬する。


「うん」


 好きだよ、とも、ぼくもだよ、とも言えなくて、ぼくは頷き返した。それからやっぱり言葉が足りなさ過ぎた気がしてあわてて付け足す。


「知ってる」

「うにー」


 そこで、いーちゃんは?、と尋ねてこないのが友のいいところである。

 ふわふわの砂糖菓子みたいに、触れたらすうっと溶けて、掴み所がない。

 ほわほわとしたその輪郭がくっきりしない罪と温もりだけが、ぼくと友を結び付けている。


「いーちゃん」

「何?」

「ずっと傍に居てね」

「……努力は、惜しまない方向で」

「ん、いいこいいこ」


 胸に埋めたままの頭をぐりぐりと回しながら友はまた笑った。


 日の光が温かい。

 ぼくは今、少しだけ、幸せだ。





▼ぬくい日差しに照らされた








僕友とかついぞ書いたこと無かったですよリクエストの方。なんか生ぬるい話になっちゃってすみません。
ほんとはもっとふわっふわのそれこそ綿菓子みたいな話にしたかったんですけど、玖渚ちゃんのあの部屋のソファーを妄想するとどうあがいてもこれが限界でした。
あ、普通にラジカル後の黒髪友ちゃんにすればよかったのか……。
青色サヴァンの友ちゃんと戯言遣いのいーちゃんだとどうしてもリミッターが取り外せませんね。

あんまり長いこと言い訳しても始まらないので、この辺で。
こんやろ微妙だ書き直せって場合はご一報くださいませ。
コピペ・URLのお持ち帰りはご自由にどうぞ。コメントいただけたら嬉しいです。

ありがとうございました。

2012 12 08 奏

 

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