no title 3

□黒無ちゃん】 高黒笠黒月黒詰め! 【おたおめ!!
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高黒
in train monologue


「おっ、黒子じゃん、ひっさしぶりー。あれ、今日は火神いねーの?」


 高尾が黒子を見かけたのは帰宅ラッシュの混雑した電車の中だった。ぽんっと肩を叩くと、彼は驚いたように振り返り、高尾の姿を認めるなりふわりと微笑んだ。


「お久しぶりです高尾くん。相変わらずの鷹の目ですね。今日はオフなので火神くんはいませんよ」


 いつものバスケ部ジャージとは違い、マリン調で固めた黒子の私服。ちゃらっとまとめただけの自分とは雲泥の差だなーと高尾は苦笑いした。

 ちょうど駅について、ドヤドヤと人が乗り込んできた。黒子と高尾は反対側のドアの端っこに追いやられる。ぐらりと黒子の体が揺れた。


「おっと……。っと、大丈夫か? 影薄いのも難儀だな」

「まあ日常生活においてあまり良い目は見れませんね。……全く、全力で押さなくてもいいじゃないですか」


 ムスッとした表情で黒子が高尾を見る。まーまーと宥めながら、高尾はそっと嘆息してみせた。


(これで無自覚ってんだから、たち悪ぃ)


 自分をまっすぐに見つめてくる軽く上目遣いの視線はよっぽど痛かったのか僅かに潤んでいる。男としては大きな瞳。マリンブルーに吸い込まれていく錯覚。

 好意を自覚したのはそれ程昔のことではなかった。対戦以降、メールのやり取りを重ねていくうち、黒子の思慮の深さに、普段悟らせない表情に隠れた激情に、惹かれた。

 滔々と自らを振り返っていた高尾はふいに服の端を引っ張られてはっと我に帰った。


「高尾くん、今日お暇ですか?」

「ん、ああまあもう帰るだけだったから」

「じゃあ少し付き合って下さい。マジバのシェイクの割引、今友人割なんですよ」

「ぶっは! 何だよそれ! え、何あの店そんな割引してんの?」

「はい今日まで。……あの」

「ん?」


 黒子はゆらりとその瞳に赤みを差して、くっと右手を高尾の手に重ねた。

 高尾の胸がドキリと跳ねる。知ってか知らずか、黒子は益々穏やかな笑みを深めた。


「高尾くん、僕の手握ったままです」

「……え、あ、うえ?」

「服の裾。引っ張ったの。えと、」

「悪いっ!!」

「……別に構わないんで、今日は奢ってください」


(勝、て、ない)


 あざとい、のだろう。これが天然なら、少し度が過ぎる。

 やり返すように高尾はもう片手も黒子の手に重ねた。


「んじゃ、次は黒子の奢りな」

「……半額セールの時に誘います」


 がたんごとん。

 電車は二人の目的駅まで後二駅程だった。






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