no title 3
□出張! キセキの世代 in誠凛 @
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出張! キセキの世代 in誠凛
※WCで誠凛が優勝した設定です。
「今日から一週間ほど、うちの学校にキセキの世代が来ることになったわ」
それは朝練直後、部員全員が制服に着替えなおし、教室に向かう段になっての思いついたような台詞。
え、とショルダーバックを取り落とす、部員。るんっ、とその場でスキップする監督、相田リコ。
黒子は一人、先ほどから定期的に震え続ける携帯を恐る恐る開いた。
「……黄瀬くん三件、青峰くん一件、紫原くん一件、緑間くん一件…………赤司くん五十件」
それはメールの着信履歴。おっかなびっくり黄瀬、青峰、紫原、緑間のを黒子は順々に開いた。
From 黄瀬くん
Sb 楽しみっス!!
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今日からお世話になるらし
いっス!
超楽しみっ!
黒子っち、一緒にまたバス
ケできるっスねっ!!
From 青峰くん
Sb no title
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放課後行く。あのバカに
伝えとけ。
んじゃ。
From 紫原くん
Sb くろちんへ〜。
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後で会おうねー。
東京限定のんまい棒とか
買っといてくれたら
嬉しいな〜。
From 緑間くん
Sb 世話になるのだよ。
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もう他の奴らから聞いた
と思うのだよ。
一週間ほどお邪魔する。
よろしく頼むのだよ。
「……まともだ」
黒子は思わずそう呟き、次の瞬間送られてきたメールに思わず眉根を寄せた。
七時五一分。赤司征十郎から送られてきた、51件目のメールだった。
「えっ、監督っ! どういうことなんだよっ! ……ですかっ!!」
「ちょいまち、順々に説明するから。
えーと……どこから話したものかしらね……」
うーん、と話し出したリコと平行して、黒子は赤司のメールを読み始めた。
『やぁテツヤ、久しぶりだね、元気かい?
今日から一週間ほど君たちの学校に行くことになっているんだけど、もう話は聞いたのかな。
あーいや、君たちの監督のことだから、ギリギリまで伏せていそうかな。とすると今聞いていたりしてね』
「もっと早く話しても良かったんだけど、バタバタしてたし、まぁ……サプライズドッキリも楽しいかなーと」
「「楽しくないからっ!! 勘弁してくれよっ!!」」
『まさかテツヤのチームにこの僕のチームが負けるなんて思っていなかったんだけど、まぁ事実を飲み込む程度には時間が経ったね。
……それに、元々君の才能を見出したのはこの僕なんだから、え、これ、言ってみれば僕の一人勝ちなんじゃないか、ねぇテツヤ。
まぁいいや。それで、話はここからだ』
一分置きのメールに何故ここまで手の込んだことが出来るのか。黒子は末恐ろしくなりながら文章を読み進める。
すると、視線を元の文の続きに戻すよりも早く、リコが口を開いた。
「まぁつまりなんだ、うちの学校も幻の6人目とはいえキセキの世代を擁した学校じゃない。ついでに火神くんみたいなキセキの卵まで。
……でね。WCが終わった後に、話し合いがもたれたのよ」
「話し合い?」
「そう、」
『キセキの世代の取り扱いにはどこの高校も手を焼いている。
……そんなキセキとその片鱗を上手く御して優勝した誠凛には、キセキの世代を抑える何かしかのノウハウがあるのかも知れない。
ってことさ。失礼な話だけど』
「で、まぁアレよ、あんたらも考えて御覧なさい。
全国レベルの強豪校の監督に寄ってたかって頭下げられて、まぁ監督とは言え一高校生の私に拒否権があったと思う……?」
『無かっただろうね。
それに、誠凛としてもそう悪い話じゃないはずだ。
チームプレイで優勝こそしたものの、結局のところ個人技で渡り合えるのはテツヤと火神くらいなんだから
僕たちを一週間チームに混ぜるだけでどれほどの刺激になるか、考えれば分かるだろう』
ふう、と黒子は息をつく。同様に部員全員が大きな溜息をついた。
八時、ジャスト。
「まぁ、メリット重視というか……ね。一週間、どうにかやって頂戴。頼んだわよ」
「おー……」
まるでこの場を見ているようなメールだ、と改めて黒子は思い直し、わずかに恐怖を覚える。
赤司のメールは最後にこう締めくくられていた。
『まぁ経緯はどうであれ、和解した今、お前たちと再び同じチームで出来ることは嬉しく思っている。
今日の放課後、誠凛高校の体育館で会えることを楽しみにしているよ、テツヤ。
それじゃあ、また後で』
読んでいる間にも送りつけられてきた九件のメールをスルーして、黒子は短く返信した。
To 赤司くん
Sb こちらこそ
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楽しみにしています。