稲妻2
□始まり。
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始まり。
※凄く真面目な話をしてるけどGO!本編には一切の関係が御座いません。
「円堂が雷門の監督に?」
「ああ、アイツの事だから、爺ちゃんの跡を継ぐ、とかそう言うのかも知れないけどな」
「いや、今のサッカー界の内情を知ってるならそう単純な話でもないだろう。
……皮肉な事だが、今のシステムを作ってしまった一端は俺たちの世界一にあることだから」
「極論だ、鬼道ちゃん。FFIでの結果を悪用しようとしたのは、俺らじゃねぇ」
「とすれば……まぁ、キャプテンの事だから先の事なんて云いようにしか考えてないんじゃないかな」
「それが一番円堂君らしくはあるよね…」
何処からともなく大きな溜息が漏れる。
ビール缶を空ける少し間抜けな音が広い部屋に響いた。
真っ先に飲み干して口を開いたのは不動だった。
「で、何だっけ? ウザってぇことしてる組織の名前」
「フィフスセクター」
風丸は端的に答え、その他のメンバーに話を振る。
「これ、円堂だけでどうにかできる問題でもないと思うんだけど」
「そうだね、キャプテンの立場、凄く微妙だし」
「っていっても、俺らもそう変わりないんだよね」
「まあな。FFIの時のメンバーが全員居間にかかわり持ったトコで、針のむしろだ」
肩を竦めて大げさに息を吐く吹雪、その後に続く基山は気まずそうにそう告げ、豪炎寺が指摘した事は耳が痛い。
遠目で見ていた鬼道は、ふぅっと息をつき、そこでだ、と切り出した。
「表舞台には顔は出せない。……が、フィフスセクターにダメージを与える方法はあるかもしれないな」
「え、」
「つまり、今玉座の上で呆けている正帝を引き摺り下ろせばいいのだろう?
鬼道財閥の力もそうだし、FFIメンバーだからこそ、何かしらの圧力はかけられる……事もないと思う」
「……最後が決まんねぇな、鬼道ちゃん」
「黙れ刈るぞモヒカンに」
「ごめんなさい」
鬼道の提案に一同は唸り、やがて静かに頷いた。
「……円堂にばっかり、任せて置けないか」
「昔っから、キャプテンばっかり努力の人だもんね。
……おもに凄く熱血な方向に」
「ま、年が経とうと俺達のキャプテンは変わらないって事で」
僅かに表情に光が差す。
互いの顔を眺めあい、それから、10年前のFFIの時の古くなった写真を眺める。
「俺達は俺達の、サッカーを守る」
誓いを胸に、一歩、未来へ。
▼シンジタサキノ