稲妻2
□Time Limite
1ページ/6ページ
Time Limit T
吹雪Side
抱きかかえた膝の間に埋めた顔。
夜に闇に沈んでこのまま消えていくのは酷く怖い。
けれど、それもいいかな、と思った。
1人の夜は冷たくて、まるで世界が僕を拒絶しているようだった。
「僕の世界はキミだけで構成されてる。」
誰ともなしにつぶやいて消えていった言葉。
返事をしてくれていた敦也は、もう僕の中に存ない。
それはすなわち、「吹雪士郎」を支えてくれた寄り辺はもうないのだと。
キミの事を思って泣いた夜も、馬鹿みたいに嬉しかった光り輝く昼も、僕が居て、敦也が存て、それでこそだったのにね。
「・・・キミの瞳に僕を映してよ。」
ムナシク響いた僕の独白。
観客は誰も居ないから、僕のこの狂った感情は空を覆う黒に隠して。
「だってキミのせいなんだ。この感情を知ってしまったのは。」
きっとこの気持ちは俗に言う「好き」とか「愛してる」より遥か上。
だって、今の僕はキミを殺してでも僕のものにしようと思うから。
そうしてそ知らぬふりをして、敦也が存たその位置に、君を閉じ込めてしまいたい。
僕が狂っていると言うのなら、それはそれで構わない。
(それを実行するまで、あと何日、何週、何ヶ月?)
(繋ぎ止めてるのは細い細い蜘蛛の糸)