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□15分トライアル!
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15分トライアル!


「例えば制限時間というものが無い世界があったとしよう」

「おう」

「それはどんな世界だと思う?」

「……なんか言い出すのかと思ったら俺に丸投げかよ、欠陥」

「僕は疑問を提示してみただけ。戯言でいいならいくらでもいいようがあるけれど、まぁ、君の意見を先に聞こうと思ったんだ」


 四畳間の部屋に、鏡が向き合っていた。

 一人は笑い、一人は笑わない。


 二人の間にある卓袱台にはガラスのコップが置かれ、笑い声の新道に生ぬるくなった水道水がちゃぷんと揺れた。


「待ったくを持って何も変わらないぜ、あってもなくてもそんなんはおんなじことだよ欠陥。

 人は時間を守らない。時間にルーズ、って言葉はよく聞くけれど、それは見方を変えればまったくの別物になる。

 例えば、一時間平気で集合時間に遅れてくるやつがいるとしよう、そういうやつは、『遅れる』のがパーソナルでデフォルトだ。

 最早集合時間、という名の設定時間、集合時間などそいつの前では意味を成さない。

 学校のテストだって同じこと。制限時間で鉛筆を置いたって「名前を書き忘れた」って書き足すヤツなんざどこにでもいるだろ。

 変わんない、同じことさ。あっても無くても同じだな」

「ふぅん、君にしては随分普通に言ってくれたじゃないか。

 ……僕はね、この世は時間に縛られていると思ってる」

「へぇ? 何で」


 笑いを含んだその声に、戯言遣いは殺人鬼の瞳を見た。

 暗い色合いの、何も観ていない瞳は、自分とそっくりで吐き気がした。


「時間を守るのと制限時間を設定するのは必ずしも縛られているとは思わない。

 ただし、人が一生に使うことのできる時間は長さの差こそあれど決まっている。どうしようもない。

 生れ落ちた瞬間から制限時間は刻一刻、削り取られているんだよ」

「……なるほどな」


 殺人鬼は一言呟いて、ぬるい水道水を一気に仰いだ。

 顔をしかめながらコップを置き、戯言使いを見る。


「じゃっ、こんな鏡に出くわして会話してるのはその制限時間を無意味に消化していることになるんじゃねぇの?」

「そうだね、自分にとってなんのプラスにもならない行為だ、実に戯言だよ」

「傑作に意味が無く何も得るものはねぇ。けどこうやって今も無駄に無意味な話しをしてるのはどうしてだ」


 鏡からのその問いに。

 戯言遣いはなんてことなく言った。


「なんとなく」


「君がここにいるのが、」


「嬉しいから」





▼無意味の消化。











なんとなく血迷った結果のお話。珍しくpixiv→サイト になりました。
pixivでのキャプションは以下の通りですw

「これはタイトルどおりの話。今現在を持って何を書くかなんて決めてない。市立図書館のPC残り時間15分。
 掛け値なしに文句なしに傑作で戯言でどうしようもない。これから15分。僕は何も考えずに執筆を始める」
というわけで何が15分って、白羅の執筆制限時間が15分です。どこまでいけるかお付き合いくださいませ^^

うん、私は15分で1000文字打てるようだ。

 

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