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□マヨナカサイカイサイクル
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マヨナカサイカイサイクル


※知識は戯言のみ。ほんのり僕零……いー零? 超捏造。
 人識くんがコンビニの深夜バイトしてる。



 その日は思いの外請負業が長引いて、夕飯も食べずに時刻は既に深夜11時だった。

 帰っても友はもう寝てるよなー…。

 じゃあ、うーん……コンビニ飯でいいかぁ……。

 気は進まないものの腹は減っていたので近くのコンビニに入った。

 適当におにぎりを手に取りレジへ。

 そこで僕は思わず、おにぎりを取り落とした。

 脱色した髪は斑に色が掛かり、何よりも、顔面の派手な刺青。

 そのコンビニ店員はまさしく、


 零崎人識、だった。


「……零崎、だよな」

「おお。……あ、こちら暖めますか?オキャクサマ」

「いい」

「失礼しました。……三点で354円です」

「……ごめん笑っていい?」

「殺す」


 とは言われたものの。

 京都連続殺人事件の犯人がどうして京都のコンビニの深夜アルバイトなんぞしていると思うのだ。

 思わず吹き出すと、明らかに機嫌を悪くしながらもレジ袋を寄越してきた。

 それで漸く僕も落ち着いて、こう言ったのだった。


「まさかあれだけいい感じに別れておいて再会するとは思わなかったよ人間失格」

「かはは、そりゃ俺も同感だ欠陥製品」

「で。事情は聞いて良いのか零崎?」

「言わんとしてることはわかってるぜ、いーたん」



「「何でこんな所にいるんだ」」



「けどまあバイト中だからよ。終わるまで待っててくれや。

 100円マック位なら奢るから大人しく待っててなー」

「あれ可笑しいな、お前の方が胃袋キャラだった記憶があるんだけど」

「記憶違いじゃねぇの? なんせ欠陥製品だからな」

「いや、流石に無い。ってか今はやっと全うな製品になったんだ」

「かはっ、嘘臭ぇ。……後ろのお客様がいらしましたので宜しいでしょうか?」

「……ぶはっ」


 急に敬語に戻って0円スマイルを蒔く零崎に爆笑。後ろの客に白々しい目で見られた。

 うーむ、零崎の所為なんだけど。










 それから一時間、雑誌を立ち読みして時間を潰し、バイト上がりの零崎に改めて対面した。

 私服はやっぱり殺人鬼時代と変わらず派手だった。何というか、哀川さんチックな赤だった。


「改めましてどうも、殺人鬼」

「御無沙汰してたな、戯言遣い」


 取り敢えず僕の部屋で語ろうぜ、と言うことで旧骨董アパートに向かう。

 隣を歩く零崎は、あーなつかしー、と戯言を吐く。

 ……十八番を盗られた。


「ぼろっぼろの雑巾みてえなあんたを世話してやったっけなぁ」

「いいだろ、背が低い平気で人を殺す殺人鬼が善人になった瞬間だ」

「そりゃあありがてぇってか」

「まあ、水着白衣にビビった辺りで地に堕ちたけど。絵本さん可哀想だった」

「あの女激怖かったって!!」

「お蔭で僕は零崎くん担当という不名誉な称号を貰ってしまった」

「……くっ、昔のことをねちねちと……」

「お前一体何キャラだ」

「かはは、傑作だろ」

「っと、着いた」


 旧骨董アパート、もとい新骨董マンション。

 ……古くないから骨董とは言えない。


「今は玖渚と一緒に暮らしてる。もう寝てるだろうから、起こさないように気をつけてくれ」

「玖渚……って、あれ、あの青い髪の女だよな? 振られたんじゃなかったっけ」

「ヨリ戻したんだよ。それにもう青くないしね」

「へぇ? 良かったじゃん」

「浮気したら殺すって言われた」

「普通の女になったんだ?」

「そんな感じ。世界ぶっ壊されるよりマシになったかな」

「ふーん。まっ、いいや。お邪魔しますーっと。随分綺麗なマンションに生まれ変わったのな」

「戯言だろ」

「傑作だ」


 案の定家の中は真っ暗で、覗いた寝室で静かな寝息をたてる友を確認してから、零崎を部屋に招き入れた。


「なんか、お前不倫がバレないか確認してるみたいに見えた」

「……零崎」

「なんだよ」

「僕、実は初めて会ったときから君のことが好きだったんだ」

「……」

「……」

「傑作だな」

「戯言だね」

「やばっ、マジで鳥肌」

「ごめんごめん。ぜろりんからかいやすくてつい」

「うわー、いーたん性格わりー」

「あながち嘘でもないけどねー」

「は」

「玖渚の10億分の1位は好きだよ。絵本さんは10億分の5好きだけど」

「水着白衣に負けた!?」


 ……ほんと、からかいがいがあるんだよなぁ、零崎人識。

 拗ねてるし、なんだあれ。


「まぁ、今日は泊まってけよ。部屋余ってるし、玖渚には明日紹介するから」

「んー……、じゃあ世話になるわ」

「でさぁ。何でコンビニ店員なんだよ」

「人類最強が、約束守ってる御褒美で府警に手回ししてくれたの。だーら指名手配解除されて」

「哀川さん相変わらず甘いんだよな」

「で、まぁ小銭稼ぎ。定住場所も無いし、今は漫画喫茶泊まり」

「《零崎》あるまじきだな」

「何言ってんだよ、とっくに殺し名としては破綻してるって。あんたは?」

「哀川さんリスペクトで請負業」

「かはは、傑作だな」


 こうして話してると、四年の月日が消えていく錯覚が起きる。

 元々零崎とは気が合うんだ、当たり前だけど。


「まぁ、ぼちぼちやってるよ。戯言で他人が救えるなら悪くない」

「ふーん」

「零崎も仕事手伝ってくれよ」

「はぁ?」

「色んな人に支えられて成り立ってる職業だからさ。君に手伝って貰えたら助かるってのが正直なところ」

「つまりお前の用心棒職か」

「不定期だからバイトもやっていいよ」

「……成程。金次第だな」

「少なくともコンビニの深夜バイトよりは高いな」

「じゃあやる」

「即断だ!!」


 がっとシェイクハンド。言うまでもなく戯言である。


「これからよろしく雇い主サマ」

「宜しく頼むよ用心棒」

「で、俺そろそろ眠いんだけど」

「おー、そこの簡易ベッド使って」

「いーたんの部屋ハイテクー」

「僕は玖渚と寝るから」

「……おお!?」

「寝るだけだし」

「おお」


 胸をなで下ろす零崎。

 押し入れから掛け布団を取り出す僕。


「じゃあ」

「うん」



「「また、4、5時間後とか」」









▼仲良し同士の平和的対談

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