PofT

□Look at the bluest sky
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空は、蒼かった。

いや、今も充分蒼い。
雲が2,3個空に浮かび、こっちの気も知らずに自由に泳いでいる。
<地球は青かった>と、どこかの偉い人が言っていたが、まあ確かにそうだ。
地球は、蒼い。
なびく風と俺の髪は、まるで一体化してるみたいだ。
そして空の青に輝いて、雲と同様、自由に飛ぶシャボン玉は、やっぱり俺の気なんか分かっていないんだろうなって思う。
ついでに言うと、俺の隣に座ってシャボン玉を吹いているこいつも、きっと俺の気なんか分かっちゃいない。
急に俺の隣に座ったかと思うと、またも急に俺のシャボン玉を吹き始めた。
こいつ曰く、<シャボン玉は、自分の心を無にしてくれる>んだとか。
何が言いたいんだ。
それからこいつは、何を言うでもなく、ずっとシャボン玉を吹いている。
結局何が言いたかったのかは分からない。
何がしたかったのかも。
でも少なくとも、今の俺はすっきりした感覚があった。
こいつと、シャボン玉の飛んでいる空のおかげなのかもしれない。

もしかしたら、俺のためにココに来てくれたのかと考えてしまう俺は、あまりにも莫迦らしかった。
実は俺の気を分かっているから、こうして黙ってシャボン玉を吹いているのかとも考えてしまう。
<シャボン玉は、自分の心を無にしてくれる>らしいから、それを教えたくて、それを実践してほしくて、屋上にわざわざきてくれたのかと考えてしまう自分も、自意識過剰すぎて、莫迦らしい。
まるで幸村、ジジくさい副部長、参謀を倒して立海No.1になろうとしているあのワカメ坊やみたいだ。
そうだ。莫迦らしい、莫迦らしい。

見上げた空は、絶え間なく変わり、ソレが面白くて、





気づいたら、首が痛かった。


まだ俺たちは、一言も言葉を交わさずに、黙って空を見上げている。
でも分かる。
俺たちは、喋らなくても、通じてる。






風が、またふいた。









シャボン玉がひとつ、姿を消した。
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