夢々[長]
□月詠 1
1ページ/1ページ
■Shingen Side
それは月の美しい晩だった。
凍てつくような寒さの中、その者は水面にうつる月を眺めていた。
音はない。
その者が口から息だけが白く吐き出されては消えていった。
片手には刀が握られている。
だがその儚くも神々しい姿はさながら天女のようにも見えた。
月明かりにきらりと光る銀髪は今でも目に焼き付いている。
あの晩、我は天女に心を奪われたのだ。
[
戻る
]
[
TOPへ
]
[
しおり
]
カスタマイズ
©フォレストページ