創作置場(短編、詩)

□きみのなみだ
1ページ/1ページ

泣かないで。



君は今日も僕のために泣いてくれているんだね。


ずっと横たわったままの僕は、


もう一生手も動かせなくて、


足も動かせなくて。


脳もどんどん畏縮していく。


迷惑をかけて死ぬだけだ。


ごめんと謝りたいのに声すら出せない。


今も頭に残っているのは。


君の笑顔と


あの時のブレーキランプ。


青信号なのにはね飛ばされて。


死に神から君が助けてくれた。


でも僕は役立たず。


君はいつも謝るけど、


悪いのは僕だ。





急に自分の心臓が押さえつけられたようになって、


そのまま闇に落ちていった。


君は謝らないで。


僕のために泣かないで。


早く忘れて。



早くいい人を見つけて幸せになって。



最後に君の手を握り返せたのは、












“きみのなみだ”が僕の頬を伝ったから。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ