創作置場(短編、詩)
□きみのなみだ
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泣かないで。
君は今日も僕のために泣いてくれているんだね。
ずっと横たわったままの僕は、
もう一生手も動かせなくて、
足も動かせなくて。
脳もどんどん畏縮していく。
迷惑をかけて死ぬだけだ。
ごめんと謝りたいのに声すら出せない。
今も頭に残っているのは。
君の笑顔と
あの時のブレーキランプ。
青信号なのにはね飛ばされて。
死に神から君が助けてくれた。
でも僕は役立たず。
君はいつも謝るけど、
悪いのは僕だ。
急に自分の心臓が押さえつけられたようになって、
そのまま闇に落ちていった。
君は謝らないで。
僕のために泣かないで。
早く忘れて。
早くいい人を見つけて幸せになって。
最後に君の手を握り返せたのは、
“きみのなみだ”が僕の頬を伝ったから。