創作置場(短編、詩)

□闇鯨(やみくじら)
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暗く沈む何処へか
暗く潜る黒く重い巨体はどこへ
七つの海が横たわり
世の中は一時の平和を謳歌する
真っ向から差し込む照らし手は
海の底へは届きはしない
巨体は覗く、海の底から

月の光、水平線を漂えば
静まり返り張り詰めて
月が夜に眠れば闇訪れて
一回り満月すぎた頃
いつも下弦を待っている

闇にならねば上がれはしない
海賊達の唄を聴き
それとともに目覚めたら
巨体は覗く、海の底から
夜の闇に何かを探すように
下弦の月を待ちわびる

新月だけが楽しみで
満月だけが苦しみで
上弦の月は泣き叫び、
下弦の月は希望に満ちている

巨体はいつも待ちわびる
自身が隠れる闇だけを

      Fin.

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