創作置場(短編、詩)

□凶人悲劇
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貴方は私に言いました。
今日までで終わりだって。
だけど私は認めない。
そんな終わりは認めない。
簡単すぎるじゃない。
終わりは悲劇じゃなくちゃいけない。
私の勘違いでも、そうさせてみせる。

「やめろ、やめろ」
「いやよ何でよ何で分かれるなんて言い出すのよ突然」
「ひっ、やめろ」

私は彼にカッターナイフで切りつけた。
上がる、紅。
そして、刹那。
沈黙が私を襲った。
私は貴方を殺した。
私は今から、死ぬ。

「何、やってるの?」

友達の顔。
そしてそちらを向く私の顔。
返り血を浴びて微笑んでいる私の顔。

「いやぁぁぁっ」

叫んだまま立ち止まる、友人。
スローモーションの様に床に倒れる、友人。
もう動かない友人。

此で悲劇の材料が増えた。

扉が開いて男が入ってくる。

「君、もう終わりだね」

彼は迷わず私を撃った。
腹のあたり。

「胃液が充満していたいよ、頑張って」

此が本当の悪魔だ。
自分が自分によって蝕まれていく。
痛い、痛い、痛い。

「君が予想してた悲劇、まだ終わらないよ」

彼は私の手をなめた。
そして自分の頸動脈を切り、消滅する。
私の周りは血の海だ。

私も、逝った。


此が愛のロマンス。
ロミオとジュリエットの悲劇。

貴方も、ご一緒する?

[完結]

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