□暖かい場所
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「えっ!!!!?」


私は驚いて思わず声を出してしまった。






「ハンカチ君……」


そこには紛れも無いハンカチの彼が立っていた。


「新幹線の時の…!」


「住み込みしてる旅館って…」




「川崎旅館?」


「…はい!」



「貴女は…?」



「私は此処の女将と料理長の娘です。」



「えっ!!!!!!!!!!」

「数々の御無礼お許しくださいっ…」



「や…やめてください」

「いいんですか…?」

「はい…私旅館の事とか一切関係してないし」








「ハンカチ君と友達になりたいから…」




なぜか言葉にでていた


何言ってんだか…




「う…嬉しいです!」

彼は目を輝かせていた。



「地方に友達いなくて…寂しかったんです…」

「是非!宜しくお願いしますね!」



「は…はい…」



ハンカチの彼と偶然会って12時間


再会してものの5分





私達は友達になった。







「それよりハンカチ君ってやめましょう!」


「憂利です」

「憂利君…」




「そうです!」

「俺は川崎さんでいいんですか?」

「川崎さんなんてやめて…」
「舞でいいよ」

「舞さんですか!」

「宜しくお願いします!」






「あっ食事運んできたんです!」

「俺も丁度休憩なんでご一緒していいですか?」

「うん。全然構わないよ」

「あの…憂利君敬語なんてしなくていいから大丈夫だよ」


「でも…」

「わかりました。」

「徐々に慣れます…」

「うん。」

「舞さんはこれからどうするの?」

「無職なんでしょ?」

「…その言葉なるべく聞きたくなかった…」

「俺と一緒に此処で働きましょう!」

「まだわからない…」

「あー…」





「そうだ憂利君っていくつ?」

「俺は25です」

「えっ!!!!?」

「私より年上…」

「えっ!舞さん幾つなんですか?」

「私24歳。」

「会社入って二年で辞めちゃうなんて思ってなかったなあ…」


「俺なんか高卒だったんで誰も相手にしてくれませんよ」

「ただ此処の料理長だけは違う」

「俺の腕を見てくれましたから。」

「憂利君って料理上手なんだね」

「今度憂利君が作ったの食べてみたい」

「舞さんのためならいつでも」


「ありがとう」

「とにかく舞さんは大丈夫です!」

「就職先なんてすぐに見つかりますよ!」


「うん。」






憂利君とそれから色んな話をした。


その時間だけなぜか不安や息苦しさは感じなかった。


憂利君が暖かい人だからだと思う。
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