□恋愛対象
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「はあ…」



『要君の事好きなんでしょ?』



わからない




好きかどうかきかれてもわからない





「梨沙っ!」

「亜稀?」

「今、廊下で大変な事起きてるよ!」

「何?」

「いいからきてきて!」




廊下に行くと沢山の人だかり、ヒソヒソ声。



真ん中に見えるのは

私と同学年の女生徒。


それと






「要……」







胸がズキズキ痛む

呼吸が上手くできない。









「付き合ってください」


女生徒が言う。








そうだよ

この子と付き合って私なんか忘れるべきだ


地味な私と付き合うなんて要の価値が下がるだけ






「………はあ」



なのに…涙が止まらない

私は


要の事





こんなにも好きなんだ。



この気持ちをずっと抑えてたんだ


自分に嘘をついていたんだ



「梨沙?!」



周りの人が私を見る。






要と目が合った。



「梨沙?」






何をしてるんだろう私は


そう思って立ち上がる



「ごめん亜稀…トイレ行ってくる。」





「行くなよ」






私は思わず立ちすくむ。




「ごめん俺好きな人いるんだ。」


「あんな子が好きなの?!」


「あんな子?」





「梨沙の侮辱をしたら俺は許さない」






「ここにいる人にも言える事だから」




要は私の方へ歩み寄る。




「来て」



腕を掴まれた。



「ど…どこ行くの?」






「人がいない所。」














*****





「要…」





「もう一度告白やり直す」






「俺…」


「梨沙の事が好き」







今なら言える









「私も…要の事が」













「好きです」









「愛してる」


強く抱きしめられる



「要…好き…大好き」



「俺も。」







「うわーん…」


「何泣いてるの?」

「なんかわかんないよお…」

「そんな顔されるともう無理だよ」


私を強く抱き寄せて

初めてのキス


甘くて舌がどうにかなりそう…



「もう離さないから」

要が耳元で囁く。






恋愛対象に入る入らない



そんなものは初めから存在しない。



好きなんて言う感情は気がついたら感じているものであり、みんな最初はわからないものなんだと私は思う。






fin
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