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□最後の恋。
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毎年同じ窓から見る風景。
私がここに来てもう二回目の春がやってきた。
そして私は恋をする
---最後の恋---
今日は何曜日だろう。
段々日にちがわからなくなる
最初の頃は友達も何度も遊びに来てくれて心細くはなかったけど
もう二年もなると友達の人数も来る数も減って孤独の毎日。
同じ部屋の人も老人ばかりで話相手には到底無理だった。
そうしてくると毎日がどうでもよく感じる。
「佳奈ちゃんおはよう」
「咲先生!」
安藤咲先生。私の担当の看護師さん
唯一の話相手。
「さぁお注射の時間よ」
「はーい…」
「先生…私はいつになったら退院できるんだろうね」
「………大丈夫よ!すぐ退院できるって!」
毎回この質問を聞くとこの答えが返ってくる
もうこの答えは何回聞いたのだろう。
みんなは何も言わないけど私の命はもうあと少しなのはわかっている。
入院して随分痩せたし、髪の毛も少なくなった。
どう考えてももう治せるくらいじゃなくなっているから
「あっ!今日から新しい患者さん入ってくるからね!」
「向かいのベッド?」
「うん!仲良くしてあげてね!」
誰なんだろう…
変な人だったら嫌だなあ…
そう思いながら私はウトウトして眠ってしまった。
*****
目をあけるとそこは何も変わらない風景。
嗚呼、眠ってたんだ私。
起き上がると一つだけ変わっていた事があった。
「あ。起きた。」
「俺、佐伯祐也!」
「よろしくな!!」
「あ……よろしく」
佐伯祐也と名乗る青年は端正な顔立ちの人だった。
「なあお前の名前は?」
「私は篠崎佳奈。」
「歳は?」
「17。」
「貴方こそ」
「俺は18歳。」
「何で此処に?」
「足の手術で一週間此処に入院。」
「お前は?」
「見れば…わかるでしょ?」
「病気なのか…」
「入院して二年経つから病棟の案内なら任せて」
「お前…大変だな…」
「別に…もう慣れた。」
それからたくさんの事を聞いてきた。
久々にこんなに喋った気がする
「なあ篠崎。」
「お前さあ…少しは笑えよ」
「???」
「笑わない人生なんてつまんなくないか??」
「………別に」
「よし!俺が笑わしてやる!」
「練習してみろ!」
「何で…私が…」
「変顔はどうだ!」
「…っぷ」
「何その顔…」
「初めて笑ったな…」
「笑顔の方が可愛いな」
「五月蝿い!」
この時からだったのかな…
私が彼に恋をしたのは。