献上

□原色パレット
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『貴方は絶対を信じますか?』
暖かい色をした石畳。美しく咲き誇った花々。まるで絵本の一場面のような風景の中で問い掛けられた言葉。
視線を下げたそこに金糸を思わせる髪。その中に浮かぶ碧(この少年は誰かに似ている。誰かの面影がそこにある)
敵国の、憎い男の元で働いている使用人の一人で間違いないのだが、不意に問われた言葉(思えばこれが初めての会話だったような気がする)に反応出来ず声が消え失せる。
彼は何を問うている。何を聞き出したいのか。真意は読めない。
『…答えられないなら、今はいいです』
また、夜に。
すれ違う横顔を改めて直視すれば、あの深淵に飲まれたと(亡くしたと)思っていた故人であった。












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