綴織

□0NE〜again〜
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〜はじまり〜

「志穩(シオン)・剣(ジェン)・スタースロスさん…ですね。」
そう声をかけてきたのは星雲グループ会長のご令嬢・星雲果蘭さんでした。
「貴方をずっと…お待ちしておりました。」
そう言うと、あたしの前にかしづいた。その横には黒髪青瞳の…名前は確か…
「凪尾隼人と申します。」
あたしの心を読んだかのように名乗るのは、星城学園高等部2年の…凪尾隼人さん。果蘭さんの旦那さまでした…。
っと、それよりも…
「あ、あの、頭を上げてくださいってゆーか、あの…」
しどろもどろになるあたしに、果蘭さんは顔をあげ、あたしの手をとった。
「貴方が仰られたいことは存じ上げております。今はなき12部族の長の血を引く貴方に、私はどうしてもお会いしたかったのです。」
「…はい?」
星雲グループのご令嬢・果蘭さんは、謙虚でやさしい普通の人とは聞いていた…けど、これって…一体…と思ったときのことです。
「貴方は王となるべき血筋。そして、もう一人、梧(あおぎり)高校に…王位継承者がいるのです。」
「…はぁ…」
ちんぷんかんぷんなあたしに、畳み掛けるように果蘭さんは言うのでした。
「この世界に、争いはこおりません。私たちがそう創り上げたから…でも、今…それが崩れそうなのです。礎石なき今は。」
「…と、言うのは…?」
「貴方は背に龍の紋章…痣をお持ちでしょう?それが証です。もう一人は鳳凰の紋章を持っています。」
更に訳が分からなくなったあたしに、隼人さんが口を開いたのは…たっぷり5分はたったときでしょうか。
「俺と果蘭は…にわかには信じがたいだろうが、神の分身なんだ。今は信じなくてもいい。だが、これは事実だ。お前か、そのもう一人…萩(しゅう)・鷹来(たかぎ)と言う者が王座につかなくてはいけない。どちらかが王座に着いたとき、永遠の春の芽吹きの国が生まれる。それが…アイヌとかいう部族が崇めるカムイの意思だ。」
この2人が神様?何それ…わけわからん…と思った時、ふと疑問が浮かんだのでした。
「王座に…着かなければどうなるの?もう1人の…シュウ?て人かどちらかって…」
「どちらも王座に着かなければ…この世界は氷河期を迎えるでしょう。永遠の。心は荒み、奪い合い、憎しみあう世界に。王座に着かなかった者は…」
果蘭さんはそこで口をつぐんでしまったのでした。…それは…つまり…?
「死を迎える、ってこと…ですか?」
その言葉に、ゆるゆると首を振る果蘭さん。でも、それ以上は教えてくれず、“あなた方次第です”としか言ってくれませんでした…。そしてこうも言ったのです。“これ以上の未来はまだ教えられないの”とも…。
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