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05.Trick or Treat.




パーティー会場では、色々な人…ならぬ方々が居た。
キョロキョロしていると、跡部に「こっちに来い」と呼ばれた。


「こいつが手塚だ。俺と同じ、吸血鬼だ」


誇らしげに紹介する跡部をみて、ここでも手塚好きも変わらないんだと思った。


吸血鬼と紹介され少し身構えてしまった私に、手塚は「よろしく」と握手を求めてきた。
手塚はどこぞの吸血鬼とは違い、紳士だ。



「跡部、僕たちも紹介させてもらっていいかな?」


手塚の後ろから現れたのは、不二だった。
ここに居る人たちはみんな正装をしている。タキシードやスーツが多い中で、彼は珍しく着物を着ていた。


「僕は不二周助。属性は…雪女って言ったらいいのかな?」


男なんだけど、祖先が雪女なのだと彼は笑って言った。
雪男って言われるより、雪女の方が納得できる。
雪女の正装は着物だそうだ。なるほど。



「はいはーい。俺は菊丸英二!属性は〜」

「猫?」

「ピンポーン!て、何で分かったの〜?」



耳でてないよね?と一生懸命頭を触ったりしている。
いや、だって、ねぇ?

ちなみに海堂は蛇との半妖らしい。予想通りだ。
桃城は忍足と同じ狼男だった。
案の定、蛇vs狼の戦いが些細なことで始まった。
最も、不二の一言で直ぐに戦いは終わりを迎えるのだけれど。


「少し、頭を冷やす?」


凍ってしまった手元のグラスが、少しでは済まないことを物語っていた。


「騒がしくてすまない」

「せっかくのパーティーなんだから、暴れちゃダメだよ?」


コクコクと必死に頷く二人に苦笑しながら、私はずっと気になっていたことを尋ねた。



「あの、前から思ってたんですけど。このパーティーって何のパーティーなんですか?」

「……聞いてないのか?」



手塚が説明しようと口を開いたその時、キーン…という、マイクが入った時の独特の高音が会場に響き渡った。
動物属性の方々のうめき声が聞こえる。
…耳良いと、大変だね。



『ああ、ごめんごめん』


幸村、やっぱりお前か!
そして、絶対わざとだろ…!
そう思ったのは、私だけじゃないはず。
そんなことは一切気にせず、幸村は話を進めた。



『集まってくれてありがとう。それから会場を提供してくれた跡部にも礼を言うよ。さて、もう皆は知っているだろうけど、改めて紹介するね』



幸村が、こっちを見る。
沢山の視線が、私に集まった。



『朝霞小雪。やっと、この世界に帰ってきた子だよ。みんな、仲良くしてね』



いや、だからね幸村さん。
帰って来たって、ど―ゆー意味なのさ。
ハテナだらけの私に、手塚が説明の続きをしてくれた。



「稀に、この世界で生まれた魂が違う世界に迷い込んでしまうことがある」

「はぁ」

「それがお前だ」






……は?
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