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□02
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02.パーティーへようこそ!
「ん…」
「おはよう、お寝坊なお姫様。もう日が 沈 む 時間だよ」
「……おはよう…?」
寝起きが悪い私も、今日は一瞬で目が覚めた。
目の前に知らない男の人が微笑んでいたら、眠気も覚めるというものだ。
その男が、テニプリに出てくる幸村そっくりだったら尚更。
「そっくりじゃなくて本人だよ」
「…今、声に出しましたっけ?」
「顔に書いてあったからね」
そっか、顔に書いてあったんだ。
納得しとくことにした。そして、此処はどこ?
私の部屋じゃないことは確か。
なんとゆーか、この部屋は…
「ここは、古城を改装して作ったんだ」
「あ、うん。それだ」
お城、それもヨーロッパの古城のイメージに当てはまる内装だった。
壁は白く、床には赤いカーペット、家具はアンティーク風。
カーテンはしっかりと閉められていて、ぼんやりとランプが灯っている。
そして私がいるこのベッドは天蓋つき。
どれをとっても、高そうな物ばかりだ。
…夢?これは夢、だよね?
「さぁ、そろそろ起きて支度をしようか」
「支度?何の?」
「パーティーだよ」
「意味が、分からないんだけど」
そっと差し出された手を戸惑いながら掴む。
そのままベッドから降りると、彼は愉しそうに微笑んだ。
「君が帰ってきたお祝いだよ。さて、まずはお風呂だね」
「………は?」
意味が分からないまま連れてこられたお風呂。
お風呂ってゆーか、大浴場?ライオンの口からお湯が出てたり…
説明すんのも面倒臭いくらい、豪華だ。
広すぎる浴槽につかりながら、ぼんやりと考えていた。
お湯につかる感覚は本物。ここまでリアルな感触は、夢では味わえないと思う。
これが現実だとすると、私はいつからこの城にいるんだろう。
起きる前の最後の記憶を手繰り寄せる。
確か、彼氏と別れて…
ああ、そうだ。街で配られてた紙の通り、夜中に鏡の前でリンゴを食べたんだ。
…で、どうなったんだっけ?
おかしい。思い出せない。
幸村が―・・・漫画の登場人物である彼が存在すること自体疑問なんだけど、
この際それはどうでもいいとして、彼が言っていた『帰ってきた』って意味は・・・?
うん。分からない。
「考えすぎて頭痛い…」
「じゃあそろそろ出たらどう?」
「うん、それもそうだ…………あ゛?」
「ふふ、覗いちゃった」
の ぞ か れ た
「〜〜〜〜っ、とっとと出てけー!」
「はいはい、のぼせない内に出ておいでね。ドレスはここに置いておくから」
あまりにも堂々とのぞかれ、あっさりと出て行った彼に怒りを通り越して呆れた。
もういいや…上がろう。
幸村の言う通り、のぼせそうだ。