Seigaku・Rikkai

□つまりはそういうこと
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私は只今絶賛片想い中です。

そんなわけで、皐月に恋愛相談をしようと思ったら、皐月は「紙にまとめてくれる?」と一言。
…いや、確かに、あの人がこーであーでとにかくカッコイイって話しかしてないかもしれないけどさ。でも、こっちは必死に恋してんだ!とキレてみたら。



「だから、話聞かないとは言ってないでしょ?短時間ですませてって言ってるだけだよ。じゃあ、私は委員会があるからまたね」



と図書室へ向かってしまった。
…ひどくないですか?
まぁ、紙に書くのも気持ちの整理ができそうだし。放課後、一人クラスに残り、皐月宛てに手紙を書いていたんだ。


そしたら。




「書き終わったー!って、ちょっと…!」



いきなり、後ろからひょいと取り上げられた。
振り返れば、同じクラスの幸村。
ぽかーんと幸村を見てたらニコッて笑うからつられて私も笑ったんだけど、当然の如くその手紙を読み始めたから慌てて叫んだ。



「幸村っ!」

「うん、待ってね、まだ読み終わってないから」

「〜〜〜っ、読み終わっちゃダメ!」




やめてー!(恥ずかしさで)死んじゃう!
一生懸命手を伸ばしても、椅子に座ったまま立てない。
幸村が上から頭を押さえているからだ。
あーもう、なんでこの人こんなに力強いの。




「いいじゃないか。俺に気付かないくらい真剣に書いたラブレターなんて、気になるだろ?」

「いやそれラブレターじゃな…って、幸村、いい加減にしないと怒るよ!」

「どうぞ?」

「…これから、シカトしてやるんだから」

「それじゃあ、俺はこれを全校生徒分コピーして配る準備をしてこようかな」

「ごめんなさいなんでもないです私が悪かったです」

「分かればいいんだよ」




…あれ?
ちょっと待った。
私、悪くないよね?




「……幸村さん、あの、本当にそろそろ返してください」

「まだ5枚残ってるから駄目だよ。それにしても、よくこんなに書いたね…『笑顔がとにかく素敵で、見てるだけでもうごちそうさまって感じで…』って、国語大丈夫?卒業できる?」

「うっ、うるさいやい」



読み上げるなぁ!
ああもう、どうしよう。
本当に、読まれたくないんだ。
とくに、最後の一枚が。



「幸村、何でもするから、もう止めて…」

「…何でも?」

「うんっ」



ぴたっと読むのをやめて、こっちを向いてくれた幸村。
その笑みが黒くても、もうなんでもいいからとにかくもう読まないでほしい。




「…たとえば、何をしてくれるの?」

「え?えっと…ぱ、パシリとか?」

「…『あの人って彼女いるのかなぁーいたらショックだけど、いやショックどころじゃな「ぎゃああああもう、朗読はやめてー!」



私の答えがお気に召さなかったようだ。
だって、幸村が喜びそうなことって分かんないもん。
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