Seigaku・Rikkai

□始まりの音に気付けなかった
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「ねぇ、僕のものになって?」

「……へ?」











…えっと、目の前にいるのは確か、青学の天才さんだよね?


あ、そっか。立海の何とかってゆー人の変装か。なるほどね、こりゃびっくり、確かに本人にしか見えないよ。

確か、名前は…




「思い出した!仁王だ!」

「…不二だけど?」

「やだなぁ仁王サン。不二君はそんな事言わないって。みんなの王子様だし。じゃ、私はこれでー……」




あら?動けない。何でだろ。仁王が腕を掴んだからか。なるほど。




「仁王サン、離して」

「そんなに僕に妬かせたいの?」

「……はい?」




焼く…?
あ、昨日のお祭りで焼きトウモロコシ食べ忘れた。次こそは食べよう、うん。

とか、現実逃避したけど何か物凄く危険を感じるから向き合うことにした。





「えっと、仁王って人のイタズラじゃ、ないの?」

「普通に考えて、仁王が青学にいるのはおかしいと思わない?」




確かに。
どんだけ暇なんだ仁王。



「じゃあ、本人?」

「もちろん」



そっか、本人か。良かった良かった。



「じゃあ、不二君」

「うん?」

「またね」



そう言って駆け出した。つもりだった。またしても腕を捕まれた。一体なんなんだこの人。




「僕の話、聞いてた?」

「聞いてたよ、不二君本人なんだよね」

「うん。それでね、僕は君が好きだからー…「ちょっと待ってね不二君。今おかしなこと言ったよね」






まるで、明日は休みだから〜みたいに当然のように言ったけどさ。



「私を…何だっけ?」

「あれ?知らなかった?僕、君が好きなんだよ」




だからね、君には、僕の彼女になって欲しいんだ




…知らなかった。うん、全く知らなかったよ。
驚く私に、にっこりと優しい笑顔を浮かべる不二君。女の子達が王子様みたいで素敵!って騒いでいた意味が分かる気がする。


で も 。





「ごめん、いきなりは無理だよ」

「どうして?」

「…どうして?え、何が?」

「どうして、いきなりは無理なの?」





…どうして?
だって、ただのクラスメイトか恋人になるにはそれなりの感情の変化が必要なわけで。
私にとっての不二君は、クラスメイト(レベルでいうなら、2.5ぐらい?)なわけですよ。
簡単に付き合ったり別れたりしたくないし。こう、ゆっくり階段を二人で昇って行くような過程って大事じゃない?ってのが私の恋愛観なのです。上手く説明できないけど。



「だから、急に言われても困るの」

「そう?どうせ付き合うんだから、恋人になってから一緒にその階段を登ればいいと思うんだけど」

「…付き合うのは、前提なんですか?」




質問したら、不思議そうな顔をされた。
そして、当り前のようにこう返された。



「うん。だって僕は、君しか愛せないみたいだから」






――だから、僕のものになって?










始まりの音に気付けなかった



何故か私、不二君に異常に愛されちゃったみたいです。(どうしよう…)





***Title by BLUE TEARS

 

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