Seigaku・Rikkai

□心が恋に犯される
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二人の休日、周助が部屋に呼んでくれた。
私は溜まりに溜まったこのイライラを解消すべく、愚痴をこぼしていた。
それを周助は、ただ黙って聞いてくれていた。



「…って、聞いてる?」

「聞いてるよ?それで、その子は何て?」

「ああ、それでね…」



話を聞いてくれているのは分かる。
でも、その指はずっと私の頭を撫でたり、髪を梳いたりしていて。




「……ねぇ」

「どうしたの?」

「話に、集中できないんだけど」




彼の指の動きに神経が集中してしまう。
優しく私を見つめるその眼差しにもドキドキしてしまって、何をどこまで話したのかさえ忘れそうになる。




「愚痴聞くの、もう嫌?」

「そうじゃなくて…」



髪を撫でていた指が、そのまま首筋をなぞる。
今度は両手で頬に触れられ、優しく上を向かされた。




「そんなに嫌なことは、忘れさせてあげたいなって思っただけだよ」

「ど、どうやって?」

「こうやって。」

「へ?」




ニコッと笑った彼の優しかったその手が、急に力強く肩を押し世界はぐるりと回った。
ソファーに押し倒されたと分かったときには、彼の顔が目の前にあって。
その瞳は、優しい色をしているのに、目を逸らすことを許してはくれなくて。





「小雪…」


愛おしそうに名前を呼びながら、チュッと音をたてて、髪、おでこ、頬とキスを落とす。
唇に触れるか触れないかの位置で止まった彼は、クスッ…と笑ってまた頬にキスをした。





「キス、したい?」




そっと指で唇に触れながら尋ねる彼に、返す言葉もなく固まってしまう。


「…いらない?」


わざとだと、分かっているけれど。
悲しそうなその表情に、声色に、騙されたくて。


「……い…る…」

「うん、いい子だね」














心が恋に犯される






「これで頭の中、僕でいっぱいになったでしょ?」






***Title by BLUE TEARS

 

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