Hyotei
□後編
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「皐月さん、やっぱり、理由も話さず別れるなんてダメだよ。侑士と話を」
「却下」
ここから、また 後編
侑士と別れた。
そう言うと皐月は物凄く怒った。でも、私から別れようって言ったのだと説明すると、今までにないくらい笑顔で『よくやった!』と言ってくれた。
…正直、嬉しくなかったよ。
別れた後、侑士とは全く関わらなくなると思っていた…んだけど。なぜか、私と話したいって思ってくれているみたいだ。
クラスに何度も来てるみたいだし(皐月が会わせないようにしてる)、携帯にもメールや電話がたくさんきてるらしい(皐月に取り上げられた)。
はじめは私も侑士を避けていたんだけれど、やっぱり話し合うべきだと思った。
「だからね皐月さん、携帯を返していただけませんか?」
「着信拒否してアドレス変えるなら返してあげる」
「……」
「膨れたって駄目なものは駄目よ。小雪、あの男はね、自分が振られるなんて経験が無いのよ。納得できないだけなの」
「うん、だから説明を―…」
「あんたね、あの男に抱きしめられて耳元で『すまんかった…』て言われたら直ぐ許しちゃうでしょ!」
なっ…
「そ、そんなこと…」
「無いって言い切れる?」
「そんなことされたら、心臓壊れちゃうよ!」
バシッ。
…頭を叩かれた。痛い。
叩かれた所を押さえていると、隣から深い溜め息。
「ここで許したらまたあんたが辛い思いをするのよ?」
「だから、私が説明を」
「説明する前に流されるのがオチよ。それにね、忍足が自覚しなきゃ意味ないの」
「自覚…?」
「とにかく、忍足が小雪に振られた原因を分かるまで忍足と話すのは禁止。話したら絶交よ」
―…と、言われたんですが。
「小雪っ!」
……会っちゃいました。
でも、仕方ないよね、皐月…
だって―…
家に来たんだもん。
(だから絶交は無しでお願いします)