Hyotei

□ここから、また 前編
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ここから、また 前編





「忍足君いる?」



お昼に侑士が迎えに来なくて、侑士のクラスを訪ねた。うん、嫌な予感はしていたんだ。



「ああ、忍足なら跡部の彼女と出てったきり戻ってきてないよ」

「そっか。ありがとう」



やっぱり。

いつもそうなんだ。跡部くんの彼女さんは、跡部くんと毎日のように喧嘩してる。

彼女さんが愚痴を言うのは、いつも侑士で。
男友達に相談したい気持ちは分かるし、私も相談したりするからいいんだけど。


私を優先してくれないのは、ちょっと、寂しい。



侑士がいるときは、私が迎えに行くと「また後で話聞いたるから」って彼女さんの頭をポンポンッて撫でて私の所にくる。

その光景を見なかっただけでも良かったのかも?




友人に相談すると「別れなさい」としか言ってくれない。
私が告白したのは、跡部くんたちが付き合いだした直後だったらしい。失恋した後だから私と付き合ったんだっていろんな人から何度も聞かされた。

それでも、侑士は優しいし、好きだと言ってくれる。このまま付き合っていたら、彼女さんよりも私を好きになってくれると思ってた。けれど。





そんな日は、一生こないのかもしれない。ふと、そう思ってしまった。
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