Hyotei
□最後まであなたを
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ねぇ、私は幸せだよ。
あなたは、幸せですか？
左手の薬指に嵌められた指輪。
純白のドレス。
隣には、いつも通りのあなた。
…なにも、こんな時まで伊達眼鏡かけなくたっていいじゃない。
私だけの前では、いつも素顔でいてくれたのに。
「大丈夫か？」
「何言ってるの跡部、今日は結婚式なんだよ？」
「……ああ、そうだったな。おめでとう、奇麗だぜ」
「ありがとう」
私の苗字は忍足になる。
ずっと前から、あなたと夢見ていたこと。
「本当にありがとう、跡部」
「………なら、泣くな」
「ばーか。嬉し涙だよ」
「そうか」
「そうそう」
ねぇ、侑士。
私は幸せだよ。あなたのお嫁さんになれて。
「侑士、浮気しないかな？」
「そしたらこっちでオマエが浮気すればいい。協力してやるぜ？」
「あはは、じゃあそのときはお願いするよ」
でも、侑士は浮気なんてしないよね？
飾られたあなたの写真に向かって微笑む。
綺麗に、笑えてるかな
「侑士、愛してるよ」
今日から、あなたのお嫁さんになります。
「―…忍足侑士を一生愛すと誓いますか？」
「はい」
あなたは、最後まで私を愛してくれたから。
私も、最後まであなたを愛します。
だから、天国で待っててね、侑士。
＋＋＋
以前日記にアップしたものです。
フランスには死んでしまった人と結婚できる制度があると聞いて書いたお話。