Hyotei

□私を見て
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パタンと本を閉じる。
…まさか、こうなるとはなぁ……。

予想外の結末。せやから、この人の作品は好きやねん。色々と考えさせられる。



ゆっくりと息を吐いてから顔をあげた。
散々待たせてもうたなぁ。
何だかんだで俺に弱い小雪やけど、流石に今日はほっとき過ぎた。今日はもう予定あらへんから、小雪に思う存分甘えさせたろ。




「小雪、待たせ――…?」



俺が本閉じると、たいてい目をキラキラさせてええ子に待っとる。
で、名前を呼ぶと嬉しそうに笑うてこっちにくるんや。せやけど、今日は何故か動かへん。
近づけば、規則的な呼吸音。




「…静やと思っとったら、寝てもうたんか」



猫みたいに小さく丸まって、椅子で寝てる小雪に思わず顔が緩んでまう。
しゃがんで、顔にかかった髪をそっとはらう。




「小雪?」



起きる様子はない。
仕方なく、小雪を抱き上げベッドに移動する。

ベッドに降ろしても起きへん小雪にイタズラしとうなる。
…けどなぁ。散々待たせてもうたんに、起きたらそーなっとったら、後で怒られそうやし。(小雪、怒ると口聞いてくれへんのや…結構堪えるで)


キスぐらいやったらええか。
ごめんなー起きてやーっちゅー気持ちを込めて、チュッと軽くキスを落とす。
初めは一回一回起きへんかな?て確認しながらしとったんやけど、無意識に逃げる小雪を追い掛けてキスするのに夢中になった。



「……んっ…んぁ…んぅっ…」


…なんちゅー声出すねん。
その声に一瞬固まってもうた。ら、何時の間にか起きとった小雪に胸元を押されとったのに気付いた。
ずいぶん深いキスに変わっとったらしい。いつの間に舌入れたんやろ。まったく、不思議や。

小雪が苦しそうにしとったから、名残惜しいけど唇を離す。




「おはようさん」

「お、溺れる夢みた…!」

「そら怖かったな」

「ゆ、しの所為だからっ!」




俺に溺れる夢みたん?
そらええ夢やんか。

そう言うと、キッと涙目で見つめられた。
きっと睨んでるんやろな。けど、気付かん振りしてまたキスを送る。
ふと視界に入った眼鏡とネクタイ。サイドテーブルにしっかりと置かれとる。…ああ、めっちゃヤる気やん、俺。





「…小雪が可愛ぇのが悪い」

「は?いや、意味分かんない!てか侑士!今までずっと本読んでたんだから――…」

「はいはい、後で好きなだけ言うこと聞いたるわ。せやから、今は」















+私をみて+







「〜〜〜っ、ほっといたくせに!」

「その分愛したるよ」





***Title by BLUE TEARS

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