Hyotei

□こんな私で良かったら
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「何見とるん?」

「ん?世界でいちばん幸せな言葉」







たまたま見つけた「プロポーズの言葉100選募集」というサイト。


「侑士、こーゆーの好きでしょ」

「せやなぁ…」





俺にも見せてや、と私に体重をかけ、そのままマウスを動かす侑士。






「あ、私退くから椅子使いなよ」

「このままでええやん」





まぁ、そこまで重くないし。
それはいいんだけど。





「結婚してください。もし君が断っても、僕はもう二度とこの言葉、誰にも言わない…ええなこれ」





甘い言葉を耳元で読み上げるのは止めて欲しい。
…侑士の声に弱いの知ってるくせに。なんでこーゆーことするかな。

怒る私に「すまん、わざとや」と笑う彼。睨んでも彼には逆効果らしい。






「睨まんといてや。キスしとうなるから」

「意味分かんない」

「はいはい。お、これおもろいで」





くるっと椅子を回され、向き合う形に。

いきなり真剣な顔で見つめてくる侑士。






「…なぁ、小雪」

「な、なに?」

「…飽きてもうた」

「えっ…」

「恋人でいることに飽きた、結婚しよう」






…やられた。






「〜〜〜っ、侑士!」

「なんや、見てたんとちゃうの?」

「見てたけど…」






自分で読むのと実際に言われるのとではかなり違う。絶対今顔赤い…。








「分かったて、もう読むのはやめるわ」

「…うん」

「ほな次は小雪が読み上げる番やで」

「………何故?」

「口説かれたいねん」





好きなの選んでや〜とまた椅子を回されパソコンの画面と向き合う。目回るんだけど。


好きなのねぇ……あ。







「じゃあこれ。『アタシが幸せにしてあげる。だから(結婚しようと)はよ言え!』」

「…また随分と男前なの選びよったな」

「これ結構好きだった」

「ああ、俺にプロポーズしろっちゅー想いを込めてこのサイト見せたんか」

「え?あ、いや、そんなこと…」






ない、と言おうとしたけど言えなかった。


いきなりぎゅっと、抱きしめられたから。










「俺も頑張らなあかんなぁ…」

「なにを?」

「忍足小雪になってもらう為の準備」

「…!」

「なぁ、小雪」









俺以外と結婚するつもりなんか、あらへんやろ?









「どうしよう…」

「……流石に傷付くで小雪」






だって、大好きな人にそんなコトバを囁かれたら






「なんて言えばいいのか、分かんないよ」

「…アホ。こーゆーときはな―…」













+こんな私で良かったら+





二度目のプロポーズには「はい」と笑顔で頷いて

私は侑士にそっとキスをした







***Title by BLUE TEARS

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