Hyotei

□キスの障害物
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侑士先輩は景にぃと部活仲間で、私を避けたりしないし、特別扱いもしなかった。

放課後景にぃを待ってると、「寒いやろ?」とか言ってホットココアとかくれるんだ。
で、「ありがたく思えよ」とか言わずに「間違えて買ってもうたん」とか言って。

それから、毎日逢うたび侑士先輩の優しさを知って、大好きになった。
勇気を出して告白して、やっと恋人同士になれたんだ。



「だから、付き合うのは認めてやっただろーが」

「条件付き、でな」

「当たり前だ。それが嫌だったらさっさと別れていいんだぞ」




侑士先輩は景にぃの「付き合う条件」に苦笑しながらも承諾してくれた。
(キス禁止、先輩の家行くの禁止、カラオケ禁止、夜7時以降外出禁止…などなど)(何でダメなのよっ)

そんな先輩に、別れていいって…
…本当に、別れるって言われたら…

不安になった私に気付いたのか、侑士先輩は頭を撫でてくれた。




「大丈夫やで、小雪。俺、ホンマに小雪の事好きやから」

「侑士先輩…」

「じゃあ、ちゃんと守れよ。忍足?」

「あ〜、でも、無理かもな」




――俺も、男やし?





「先輩…?」

「テメっ、だから条件を出したんじゃねぇか!」

「ま、跡部がおるときぐらい条件守ったるけど」




侑士先輩は、私の肩を抱き寄せて、ふわりと笑った。




「二人きりになったら…守れんやろなぁ?」

「〜っ、小雪、いい加減コイツの本性に気付きやがれ!」

「本性も何も、侑士先輩はいい人だもん」

「だからっ、それが騙されてるんだ!」

「何が?」

「跡部、妹取られて悔しいだけやねん。気にせんでええよ?」

「うん?」





よく、分かんないけど。
二人きりになれたら、キスしてくれるみたいだ。

…早く、二人きりになれないかな。







(「なったらキスだけじゃ済まないだろっ!」)

(「当たり前やん。ほな、頑張って妹さん狼に喰われんよーに守ったり〜」)

(「っ、やっぱ別れろ!」)








***Title by BLUE TEARS

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