Hyotei
□キスの障害物
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二人きりの時間
侑士先輩が、優しく名前を呼んで
顔を上げれば、ぎゅっと抱き締められて
お互い目をゆっくりと閉じ
惹かれ合うように、顔を近付けて―…
+キスの障害物+
侑士先輩と付き合って、もうすぐ一ヵ月。
はじめは手を繋ぐのも精一杯だったけど、侑士先輩はいつも優しくて。
大好きな人との初めてのキス。ドキドキしながら待っていた。
なのに。
「ストップ」
…私の唇は、固い本に当たっただけだった。
「〜っ、景にぃ!」
「跡部…おったんか…」
涼しげな顔で、本を侑士先輩との間に置く景にぃ。
毎回そうなんだ。
過保護過ぎるくらい、私達の側から離れないで邪魔してくる。
「キスからは禁止。そう言っただろーが」
「景にぃに禁止する権利はないっ」
「今は俺が『保護者』だ」
そう、仕事で海外を飛び回る両親に、景にぃは私の面倒を頼まれた。
1歳しか違わないのに、景にぃはしっかりしてて、いつも守ってくれた。
…お陰で、今まで好きになった人とは散々邪魔されて。
私に近付くものなら何されるか分かんないとかゆー噂まで流れて、友達だって少ないのに。
「やっと出来た、大切な恋人なの、侑士先輩は!」
「で?」
「保護者なら、優しく見守っててよ」