Hyotei
□人生はおとぎ話
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何百個ものプレゼント。
普通有り得ない。
そう、普通なら。
その相手が普通じゃないから、有り得るんだよね…。
この日なら、私も、彼に。
+人生はおとぎ話+
彼とはクラスメイト。
少し近くて少し遠い存在。
それも、もうすぐ終わってしまうんだ。
彼の誕生日にも、こうやって朝早くに机の中にプレゼント入れたっけ。名前も書かず、こっそりと。
今回は、メッセージカードにちゃんと名前を書いた。
前回と比べたらすごい進歩だと思う。
そりゃ、いちいち見るかどうか分からないし、こんなことしてないで玉砕覚悟で直接渡す方がいいのかもしれないけど…。
山程貰うプレゼント。
きっと、迷惑だと思っていると思う。
それでも自己満足のために渡すんだから、こっそり机の中でいいじゃないか。
中身は前回の誕生日プレゼントと同じ、私の得意なお菓子。包装も同じ。
その時に書いた、たった一言
―好きです
そして、今回書いた、私の名前。
気付いてくれるかな…
なぁんて。
お生憎様、そんな甘い考えは持っていない。
相手が彼みたいなモテる人じゃなければ気付くかもしれない。でも、彼はあの跡部様なんだから。そんなのありえない。
そう、ただの、自己満足。
これ以上、求めない。
「おい」
机の中に手を入れたところで声を掛けられた。
いつもは聞くだけで嬉しくなる声。
今だけは気のせいであってほしかったけれど、彼の声を聞き間違えるはずがなくて。
ゆっくりと振り向くと…やっぱり。
そこに居たのは、彼だった。