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□最後まで愛してる
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浜田がこんなことしてるなんて知らなかった。
これが初めてなのか、前からやっていたことかなんて、知らないけど。
ただ、オレの目の前で起きてることは現実なんだろう。
「...」
なんで浜田がここにいんだよ。先に帰ったんじゃなかったのか?
それで、なんで、知らないやつと...キス、して...
ぎりっ、と唇を噛んだ。なにこれ。なんだよこれ!!
走って家に帰って、意味もなくベッドを叩き付けた。むかつく、というかなんというか、意味がわからない。浜田と付き合ってるのはオレなのに。
浜田が好きなのは、オレだろ?俺が好きだと言ったら浜田は笑って俺もだよ、と言った。
...あれ?浜田は、オレに対して好きだと言ったことは...ない。
てことは、どういうことだ?浜田はオレのこと、好きじゃないってこと?
「...あー、」
うざい。こんなことでぐるぐるしてるオレが。
だけどさ、わかんねーんだよ。今日見た浜田は、なに?
そんなことを考えてると頭が痛くなって、なにも考えずにその日は寝た。
次の日、オレは浜田を避けた。休み時間の度にトイレや屋上に逃げた。浜田の顔なんか見たくない。会いたくない。
...いや、会いたいのかもしれない。ばかみたいだ。オレだけがなんでこんなに浜田のことを好きなんだろう。浜田は、やっぱ女の方がいいんじゃないか...?...じゃあ、なんでオレと付き合って...
「泉!」
びくり、と体が動いた。
なに、なんで浜田がここくんの。
「やっぱここかー」
「...なにしにきたんだよ」
「なにしに、って...泉が逃げるからだろ」
「別に逃げてねーよ」
「...泉、なんか機嫌悪い?」
そりゃ悪くもなるよな。
お前のあんなとこ見せられたら。
浮気、というのだろうか。とにかく女といた。そのことにイライラする。
「浜田はさぁ...」
あ、ダメだ。
これは言っちゃ、ダメだ。
「誰と付き合ってんの?」
なに聞いてんだオレ。
それでなんて言われるの期待してんだよ。
「泉だよ」
そんな、普通な顔すんなよ。だからお前ってわからない。
なにがしたいのかとか、わからない。
「...好きだよ浜田」
「オレも、泉が好きだよ」
こぼれた言葉に浜田は笑った。
...ずるい。ずるいよお前。
好きとか、今更言いやがって....わかんなくなるだろ...
「いずみ」
「ん、んむ、」
震える体を浜田が掴んで、キスしてきた。
固く閉じていた唇は酸素を求めて開けた瞬間、浜田の舌が入ってきた。
こいつはキスが上手い。体の力が抜けそうになる。
なんで、こんなに上手いのか...
あ。
「っ!て...」
キス、上手いのは女とやってたから?頭の中には昨日の浜田しか写らない。
浜田の舌を噛んで唇を離したら、浜田の口の端には血が滲んでいた。
あ、ダメだ。涙が、出る。
「っ...」
「え、ちょ、なっ泉!?なに泣いて...」
「は、浜田...」
ダメだ。ダメだ。このままじゃ、オレが壊れちまう。
でも、言いたくない。これだけは言いたくないんだ。
浜田、オレを止めてよ。浜田のこと、好きだよ。
オレは1番、浜田が好き。
「オレと...」
別れたくない別れたくない別れたくない別れたくない!!!!!
「別れて」
オレは、別れたくないんだ...
なのに口を割って出た言葉は正反対で。
でもこれはオレの本心なのかもしれない。
浮気した浜田が許せなかった。だけどオレは、浜田が好き。
ほんとは別れたくない。でも付き合っても辛いだけ。
「なに、言って...」
動揺してる浜田の目をじっ、と見た。好きだよ浜田。
お前の声も、顔も、体も、全てが好きだよ。
だけどお前は、オレを本気で愛してなかった。
もう、疲れたよ。さよなら。
オレは最後まで、本気でお前を、浜田を愛してたよ。浜田も、オレを愛してくれたらよかったのにな。
end.
→あとがき
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