前拍手文

□大好きだった。
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浜田が好き。
いつから、なんて覚えてない。いつの間にか好きになっていた。浜田と話すとドキドキする。胸の辺りが熱くなる。
らしくない、オレらしくない。
わかってる。だけど好きなんだ。

「浜田くん」

目の前でうざいんだけど。浜田と、浜田の...彼女。浜田は彼女の頭を撫でたりしていた。
なぁ浜田、お前知ってる?アイツ、何人のやつと付き合えるか遊んでんだぜ。この間、聞いちまったんだよ。
聞くつもりなんて、なかったけど...
なぁ浜田、お前幸せ?
そんな女に遊ばれて、いいわけ?
辛いよ、オレは辛い。
浜田がなにも知らないで、アイツと笑ってるのが辛い。

「じゃ、また帰りにな〜」
「うん!ばいばい!」

浜田の彼女は5組だから、アイツは走って帰って行った。
浜田は笑いながらオレに近づいてきた。
くそ浜田。こっちくんな。

「どしたの泉」
「...別に」

浜田はオレの前の席に座って、オレの方を向いた。
浜田、好きだよ。
だけどお前はアイツが好きなんだろ?
アイツが、お前のこと好きじゃなくても...

「あ、わかった」

ドキッ、とした。
浜田に、オレの気持ちがばれたかと思った。
だけど、予想とは違っていた。

「羨ましいんだろ〜」

胸がツキン、とした。
痛かった。
羨ましい?そうだよ。
お前じゃなくて、アイツがな。

「羨ましいわけねーだろどあほ」
「あはは!泉も早く彼女作れよ〜」

じわり、涙が浮かんだ。
鼻の奥がツン、とした。
んなこと、言うなよ。

「...嫌いだ」
「は?」
「オレ、やっぱお前のことすげー嫌い。大っ嫌い。もうやだ。俺に近づくな」

次々と溢れる言葉。ほんとは真逆だ。
お前のことすげー好きだよ。オレのこと見てほしい。オレの隣にずっといてほしい。アイツなんて、見ないで。

「泉...なに言ってんの?」
「嫌いなんだよ。お前なんか、...大っ嫌いだ!!!」

走って教室を出た。
涙が溢れた。
屋上まで走って、座り込んだ。
好きだった。ほんとに好きだったんだ。
浜田が好き。
なんで、オレじゃないんだよ。
なんで、なんで...っ、もう嫌だ...

「浜田...」

好きだ。
好きなんだよ。
でも、もういい。
お前はオレのことなんかこれっぽっちも見てないんだ。
だから、もういい。
諦める、なんてことは今すぐにはできねーけど、いつか、きっとお前のこと諦めるよ。
いい思い出に、なるように。
大好きだった。



end.


→あとがき


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