前拍手文

□好き。伝わってる?
1ページ/2ページ

あー、好き好き好き好き好き。
こんなに想ってるのに、伝わらないのかなぁ。いや、伝わってはいると思うけど...オレはこんなに好きなのに。

「好き」
「知ってる」

オレの部屋でベットに寝転びながら雑誌を読んでいる泉に言う。知ってる、って...だろうね、いつも言ってるもんね。それにオレらは付き合ってるし。
なのに泉から好きと言われたことはない。付き合う前も後も泉の態度は変わらないし、相変わらずオレには厳しいし...泉ってほんとにオレのこと好きなの?
そう思うけど言えない自分がヘタレなんだなぁと思う。でも、一度でいいから、たった一度でいいからさ、言ってよ泉。

「...い、いずみっ」
「なに?」
「あ、...っ、アイス食う?」
「うん」

あーオレのばか!なにがアイス食う?だよ!!あーあ、泉目の前にしたらなにも言えないや。好きすぎて目が合っただけでドキドキする。オレきもいな。
アイスいる?と言ったからにはアイスを出さなきゃいけないので冷蔵庫に行く。バニラアイスを1本取り出し、泉に渡す。

「はい」
「おー、サンキュ」

アイスを貰った泉は、ベットから体を起こしてアイスの袋をあける。そのまま口に運ぼうとした手が止まった。

「どした?」
「お前は食わねーの?」
「あー、うん。もうないし」
「は?これ最後の?」
「え、あー...そうだけど、いいよ泉が食べて」
「ふーん...じゃあ、貰うぞ」

きっと泉なりに遠慮してるんだろうな。まぁオレに遠慮なんかしなくてもいいんだけどね。
あ、ちょっと待った。その食べ方は...

「いっ、いずみ!」
「あ?んだよ」
「噛んで食べなさい!」
「はぁ?噛んだら歯いてーだろ」
「そ、だけど...舐めるの、は...」
「は?...あー、エロいこと考えた?」
「っ!」
「はっ、バレバレ」

そう言いながらニヤリと笑ってアイスを噛みちぎった。
そ、それはそれでなんか痛い!

「ったく、男に欲情してんじゃねーよ」
「い、泉だからすんだよ!」

そう言ったら泉は顔を真っ赤にしてそっぽを向いた。
あー、かわいいなぁ。なんでこんなにかわいいんだよ。

「そーかよ」
「照れてる?」
「うっせ!」

真っ赤な顔を見せたくないのか、オレの方を見てくれない。けど、耳が赤くなってるからバレバレなんだよ泉。
後ろを向いた泉にそっと近づいて、ぎゅっと抱きしめた。

「なっ..なんだよ!?」
「んー、好き」
「し、知ってるし...」
「泉はー?」
「...」

やっぱ、答えてくれないかぁ...
泉の肩に額を置いた。腕の力は強く、ぎゅっとまた抱きしめた。
あー、好き。好き好き好き好き。ねぇ、泉。好き。

「オレも...好きだよ」

そう言って顔を真っ赤にしながら俯く泉。かわいい。
嬉しくなって、つい頬が緩んで、かわいい泉をよりいっそう強く抱きしめた。



end.


→あとがき


.
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ