前拍手文
□好き。伝わってる?
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あー、好き好き好き好き好き。
こんなに想ってるのに、伝わらないのかなぁ。いや、伝わってはいると思うけど...オレはこんなに好きなのに。
「好き」
「知ってる」
オレの部屋でベットに寝転びながら雑誌を読んでいる泉に言う。知ってる、って...だろうね、いつも言ってるもんね。それにオレらは付き合ってるし。
なのに泉から好きと言われたことはない。付き合う前も後も泉の態度は変わらないし、相変わらずオレには厳しいし...泉ってほんとにオレのこと好きなの?
そう思うけど言えない自分がヘタレなんだなぁと思う。でも、一度でいいから、たった一度でいいからさ、言ってよ泉。
「...い、いずみっ」
「なに?」
「あ、...っ、アイス食う?」
「うん」
あーオレのばか!なにがアイス食う?だよ!!あーあ、泉目の前にしたらなにも言えないや。好きすぎて目が合っただけでドキドキする。オレきもいな。
アイスいる?と言ったからにはアイスを出さなきゃいけないので冷蔵庫に行く。バニラアイスを1本取り出し、泉に渡す。
「はい」
「おー、サンキュ」
アイスを貰った泉は、ベットから体を起こしてアイスの袋をあける。そのまま口に運ぼうとした手が止まった。
「どした?」
「お前は食わねーの?」
「あー、うん。もうないし」
「は?これ最後の?」
「え、あー...そうだけど、いいよ泉が食べて」
「ふーん...じゃあ、貰うぞ」
きっと泉なりに遠慮してるんだろうな。まぁオレに遠慮なんかしなくてもいいんだけどね。
あ、ちょっと待った。その食べ方は...
「いっ、いずみ!」
「あ?んだよ」
「噛んで食べなさい!」
「はぁ?噛んだら歯いてーだろ」
「そ、だけど...舐めるの、は...」
「は?...あー、エロいこと考えた?」
「っ!」
「はっ、バレバレ」
そう言いながらニヤリと笑ってアイスを噛みちぎった。
そ、それはそれでなんか痛い!
「ったく、男に欲情してんじゃねーよ」
「い、泉だからすんだよ!」
そう言ったら泉は顔を真っ赤にしてそっぽを向いた。
あー、かわいいなぁ。なんでこんなにかわいいんだよ。
「そーかよ」
「照れてる?」
「うっせ!」
真っ赤な顔を見せたくないのか、オレの方を見てくれない。けど、耳が赤くなってるからバレバレなんだよ泉。
後ろを向いた泉にそっと近づいて、ぎゅっと抱きしめた。
「なっ..なんだよ!?」
「んー、好き」
「し、知ってるし...」
「泉はー?」
「...」
やっぱ、答えてくれないかぁ...
泉の肩に額を置いた。腕の力は強く、ぎゅっとまた抱きしめた。
あー、好き。好き好き好き好き。ねぇ、泉。好き。
「オレも...好きだよ」
そう言って顔を真っ赤にしながら俯く泉。かわいい。
嬉しくなって、つい頬が緩んで、かわいい泉をよりいっそう強く抱きしめた。
end.
→あとがき
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