12/05の日記

22:13
赤零※少し大人向け
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「おかえり」
「…」
折角の迎えの言葉に、返事は返ってこなかった。








時々、赤木は零がいないときに限り、昼から酒を飲む。
それは日々の鬱憤(下の意味で)が溜まっているという意思表示らしいのだが。
(飲み過ぎだろ…)
家には一本しかなかったボトルウイスキーがいつの間にか3本に増えていた。
しかも空。
加えて周りにはビールの空き缶数本。
「おかえり」
赤木は静かに、繰り返す。
だが、零には分かる。
いつもより格段と頬の血色が良いこと。
瞳がいつもより雫を帯びていること。
声色が、
(甘くなってる…)
零は心の中で苦笑した。
(分かるもんだな…)
「………零」
反応してくれなかったことに拗ねたのか、眉をしかめながら手招きをされた。
零がため息混じりに近づくと、強く腕を引かれる。
「分かるだろ…」
上目づかいで囁く赤木。
すると零は顔を歪めた。
「酒臭っ…」
「…」
しまった。刹那零は瞳を赤木からそらす。すると、
「ぅ…っ!?」
無理矢理唇が塞がれた。
こういう時に限って舌使いの巧いこと巧いこと。
「んッ、…う…っ」
これでもかと口内を舌でかき回されてしまう。
唇を離せば糸を引くどころか、
「ぁっ…」
混ざり合った涎が口から流れ落ちる。
そして口の中に広がる
(酒臭えええ…っ!)
そうやって青ざめている零に、赤木が猫のようにすり寄ってきた。
「…ん…」
目をつぶって鎖骨に顔を埋める赤木。
透けるように白い髪から、仄かにシャンプーのいい香りがする。
「…はぁ」
仕方がない。と頭を優しく撫でた瞬間、
「っ、おい!!」
鎖骨をこれでもかと舐められた。
酔っているせいで口がゆるんでいるのか、たった一回で零の鎖骨は唾液塗れになってしまう。
すぐに引き離し赤木の顔を睨むと、零は狼狽えてしまった。
「大丈夫か?…顔…いつもより紅…」
「ん…」
そう曖昧に答える赤木の頬は先程より紅潮し、瞳が完全に据わっていた。
普段全くと言っていいほど見せないその表情が、なぜか零の理性を揺らがせた。
「や、やめろって…その、」
「なにが?」
「えっ!?いや…早く寝ろ…っ!」
「……」
「……っ…」
「……欲情…した?」
「!!」
首を横に45度傾けて赤木は柔らかく笑った。
といってもいつもより少しだけ、だが。
(くそ、なんで今日に限ってそんな表情を…っ!)
卑怯すぎる。零は心中悪態をついた。
「零に甘えたら急に酔いが回った…」
「どんな酔い方だよ…」
「零も、顔赤い」
「!」
「…………………勃ってる」
「っ!!」
急にぐにっ、と過敏なところを揉まれて、零の体が強張る。
刹那、退ける手。
「やめろって…!」
「嫌だ」
「っ…そこ触んな!」
「……零」
「…っ!」
ゆらゆらと欲情に揺らぐ瞳が自分を捉えて離さない。
「……しよ?」
なんて赤木らしくない事を言われれば、たじろぐ他ない。
そんな零の隙をついて唇を塞ぎ、白い手をするすると腰から中心へと下げた。

唇を噛み締め漏れる声を耐える零がまた、たまらない。
酔ってるせいなのか、感情が露わになっていた。
くくく…と笑いが口から漏れてしまう。
「ああ、可愛い。あんた本当に可愛い」
「わ…訳わかんない…」
顔を逸らして悪態をついているが、耳まで真っ赤なところを見ると喜んでくれたようだ。また自分の顔がにやける。
「俺じゃないみたいだ」
そう、自分をあざ笑ってみせると
「気持ち悪い」
なんて零らしく返してきた。
それに肯定で返すと、俺はぐらぐら揺れる世界で零をソファーへ押し倒した。
「んぅ…っふ、」
酒が回ってきたせいか、口が乾く。
普段は好んでやらないが、貪りつくように舌を絡め、唇を塞ぐ。
呼吸を整える考えは捨てた。
そのほとんどが自分のだろう唾液が、吸っては飲み込めずに垂れ落ち、零の口からだらだらと流れる。
零もついていくのに必死なのか、俺の服を皺が強く残るほど掴んでいた。
(たまらないな…)
それだけが頭を埋めていたと思う。
手のひらは自然と下へ流れて、嫌らしく撫で回す。
珍しく自分の体温が零を上回っていたのか、いつもより冷めて感じたが、見た目はこの通り。
「いやらしい顔」
「…っ、」
溶かしたような瞳と、甘い喘ぎ声。
指をじれったく挿れると意地悪、なんて小さな声で悪態をつく。
「酔ってても…やることは変わらないよな…っ」
「悪いな。誉めてもらって」
「誉めて…な、いっ…!」
性急に指を出し入れすると、うわずった声を上げてすぐに口を手の甲でふさいだ。
「喘いでくれ」
「なんだ、その…っん…お願い…」
「なぁ…零……」
「ぅあっ…!?あっ…あ…!」
待ちきれず、自身を半ば無理矢理中へ埋める。
すると零は痛みの声を上げた。
「悪い」
そんな言葉に反して腰は動き続けてしまう。
零はいよいよ涙を浮かべ、これからしばらく料理を作れとか、洗濯もだとか悪態をついた。
それに返事していると、一瞬黙り込み
「毎日…キスしろ…」
と、小さく呟いた。
「三食きっちり、してやるよ」
「…っ!」
聞こえていないと思っていたのか、その答えを聞いた零は顔を真っ赤にして黙り込んでしまった。
「ああ、でも…」
「…?」
「俺はそれと…出来るときは零とこうやってセッ…むぐっ…」
「…………変態…!」
「どっちもだろ」
「っ!……あっ…、ぁ…!」
零の腰を押さえ激しく律動すると、限界が来たのか俺の腕を強く掴んだ。
「…零…っ!」
「っあ…赤木さ…っ!」


果てるときの表情がまた、たまらなかった。




「………気持ち悪い」
零がうなだれて、口を押さえた。
「匂いに酔っちまったか」
と、悪気はあるが反省をしていない赤木を睨みつけると、零は側に置いてあったミネラルウォーターを手に取る。
俺も、と赤木が密着し、ついでという感じに抱きついた。
そして始まる悪あがき。
「ん…………やめろ」
「寝れない」
「酒くさいから駄目だ」
「キスはしないから」
「キスは…って。軽く想像できるから無理」
「変態」
「っ…赤木さんもな」
そして結局、零が折れる形になってしまう。
そうなれば、時に甘えるのも、悪くないだろう。

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