替え歌

□悪の王子
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「さあ、跪くがいい」


むかしむかしあるところに
悪逆非道の王国の
頂点に君臨するは
齢十九の王子様

絢爛豪華な調度品
顔のよく似た召使
愛馬の名前はジョセフィーヌ
すべてがすべて彼のもの

お金が足りなくなったなら
凡夫どもから搾り取れ
俺に逆らう奴たちは
静粛してしまえ


「さあ、跪け」


悪の華 可憐に咲く
鮮やかな彩りで
周りの哀れな雑草は
嗚呼 養分となり朽ちていく


暴君王子が恋するは
海の向こうの青い人
だけども彼は隣国の
指に傷追う王子慕う

嫉妬に狂った王子様
ある日大臣を呼び出して
静かな声で言いました


「あいつもろとも国を消せ」


幾多の家が焼き払われ
幾多の命が消えていく
苦しむ人々の嘆きは
王子には届かない


「ああ、おやつの時間だな」


悪の華 可憐に咲く
狂おしい彩りで
とても美しい華なのに
嗚呼 棘が多すぎて触れない


悪の王子を倒すべく
ついに人々は立ち上がる
烏合の彼らを率いるは
牙と羽を持つ剣士達

つもりにつもったその怒り
国全体を包み込んだ
長年の戦で疲れた
兵士達など敵ではない

ついに王宮は囲まれて
家臣達も逃げ出した
美麗白髪の王子様
ついに捕らえられた


「…遅いぞ、やっとか」


悪の華 可憐に咲く
悲しげな彩りで
彼のための楽園は
嗚呼 もろくもはかなく崩れてく


むかしむかしあるところに
悪逆非道の王国の
頂点に君臨してた
齢十九の王子様

処刑の時間は午後三時
教会の鐘がなる時間
王子と呼ばれたその人は
一人牢屋で何を思う

ついにその時はやってきて
終わりを告げる鐘が鳴る
民衆などには目もくれず
王子はこういった


「狂気の沙汰ほど面白い…!」


悪の華 可憐に散る
鮮やかな彩りで
後の人々はこう語る
嗚呼 彼は正に悪の王子





mothy/悪の娘


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