long novel
□第5.5話
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小話1
2008.4.下旬
日本
とある病院の周辺にて
「...なんとか上手く抜けだせたな。ジムとゴウキは?」
「予定通りあの島に向かったわ。数日はテント張って見張っててくれるって。」
「そうか。じゃあこっちも木ノ宮家に向かうか。」
「うん。あ、でもケイン、病室に置いていったお金あるじゃない?」
「ああ、治療費な。」
「そのお金ってどうして持ってたの?
行き帰りの飛行機代や滞在中の宿泊代は大転寺会長から事前に預かってるし、ケガするとは思わなかったからあの治療費払えるほど私達そんなにお金持って来てないはずだけど...?」
「...。」
「...まさか。」
「...絶対タカオん家見つけなきゃな。」
大転寺会長から預かったお金はほとんど病室の封筒の中に。
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小話2
同日の夕飯の時
「...という訳でタカオん家見つけられなかったら俺達今頃飯抜きのうえに野宿だったなぁ。
いやー見つかって良かった良かった。」
「ん?なんか言ったかケイン?」
「気のせいだろ。」
「そうか?まあいいや。そら沢山食え!
俺ん家ではすき焼きはごちそうなんだ!!」
「あ!おいしい!」
「だろ!?おかわり自由だどんどん食え!」
その日のジムとゴウキの夕飯。
あんぱん。
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小咄3
翌日の学校にて
「え?じゃあ今ケインとサリマちゃんタカオの家にいるの?」
「ああ、今度の土日までウチに泊まってくんだ。」
「しかし、どうしてまた突然二人はやって来たのですか?」
「そこら辺はここじゃ言えない。どうせキョウジュもヒロミも二人に会いに今日ウチにくるだろ?そんとき話す。」
「ふーん。...じゃ、ちょっとマックスカモン。」
ヒロミが人差し指とクイクイっとしてマックスを教室の隅の呼び寄せる。
「ナニ?」
周りには聞こえないように言う。
「タカオと大地じゃあてにならないからね。大丈夫かな?その、サリマちゃん女の子一人で...」
「ウン。昨日ボクは泊まらなかったけど、その辺の気配りは出来てると思うヨ。お風呂は先に入れてあげたし、寝る場所は同じ道場だけどシキリ立てたヨ。でも...」
「?」
「少し淋しそうだっタ。」
「...そっかー。」
「...。」
「...ねぇ。」
「ン?」
「私もタカオの家泊まってもいいかな?」
それはボクに聞くことじゃないし、ボクが答えていいことでもないけど。
「その方が良いと思うナ!」
そういうと満面の笑みでヒロミちゃんは頷いた。
その方が...。キミの方がサリマちゃんの近くにいられるからね。
サリマちゃんの様子がおかしい理由、分かるかも。
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小話4
その直後。
「そろそろ授業が始まるからボク帰るヨ。また放課後二!」
「おう!」
「じゃあね!」
「ではまた!」
そうして教室の戸が閉まると教室中から女子の落胆の声が。
「ああ、マックス君帰っちゃったー。」
「もっとゆっくりしてけばいいのにぃ!」
「ちょっとヒロミ!あんたマックス君と何こそこそしてたのよ!
抜け駆け禁止って校則にあるでしょ!!」
「べっ別にそんなんじゃないわよ!というかそんな校則勝手に作るな!」
「こっちきなさい。みっちり事情聴取してやる。」
「えぇ!?...本当に違うのにー!」
授業前にキャーキャー騒ぐ女子達を見て。
「...なあキョウジュ。マックスってモテるのか?」
「モテるというかかなりモテますね。同級生上級生にかかわらず、ぶっ千切りで本校の人気No.1です。」
「...俺、世界チャンピオンなのになぁ...。」
「タカオはベイの世界では別格ですが、こういうことには庶民的すぎるんですよ。その点マックスはハーフという最大の武器を持ってますし、さらに成績優秀で女の子に優しいときてるからタカオに勝ち目なんて始めから無いに等しいんです。それから...」
「...もういい。聞きたくない。
どうせ俺はちょんまげと袴が似合うバリバリの日本人で顔普通の成績最悪野郎だよ...。」
「...そんなヤツを無自覚で好きになってる子もいるんですけどねー。」
「ん?何か言ったか?」
「別に何も。」
「まあ、ここにもしカイやレイがいたら...」
「結果は火を見るより明らかですね。」
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